2020年4月 - 2023年3月
ポール・クローデルの作詩理論と日本滞在経験との関係についての研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究は、20世紀フランスの詩人・劇作家・外交官であるポール・クローデルが駐日フランス大使として日本に滞在中に発表した詩論『フランス語詩句に関する考察と提言』(1925)において、その作詩理論がクローデルの日本滞在中の経験といかなる関係を取り結んでいるのかを明らかにするものである。今年度は、クローデルの文学観・文明観における日本文化の影響と、日本におけるクローデルの受容について研究を行った。
昨年度は、クローデルが日本で執筆した日本文化論のうち最も重要な「日本人の魂へのまなざし」(1923)について、「外交」と「批評」の関係性という観点から読解し日本フランス語フランス文学会で発表したが、今年度はその内容をさらに深化させた論文を刊行した。「日本人の魂へのまなざし」の原型となった講演「日本の伝統とフランスの伝統」を大正期の「伝統主義論争」との関係から読み解くことで、この講演の問題意識を明らかにし、またそれがどのような改変を経て「日本人の魂へのまなざし」へと書き換えられたのかを検証した。また、「日本人の魂へのまなざし」と対をなす「ミカドの葬儀」(1927)について、クローデルの神道理解に着目して読解し、論文化した。以上の二論文により、1920年代にクローデルが構築した作詩理論の重要な背景となる日本文化に対する理解を、実証的に明らかにすることができた。
これに加えて、今年度は、クローデルの作詩理論を研究するにあたって日本の詩壇・文壇との交流の実態をより具体的に解明する必要があると考え、大正期の文芸雑誌や新聞等を集中的に調査した。その結果、これまでのクローデル研究で全く言及されていない詩誌『詩洋』のクローデル特集号を発見し、同誌の主要同人であった前田鐵之助とイナ・メタクサのクローデル受容について研究し論文を執筆した。同論文は査読に合格し、2022年度に刊行予定である。
昨年度は、クローデルが日本で執筆した日本文化論のうち最も重要な「日本人の魂へのまなざし」(1923)について、「外交」と「批評」の関係性という観点から読解し日本フランス語フランス文学会で発表したが、今年度はその内容をさらに深化させた論文を刊行した。「日本人の魂へのまなざし」の原型となった講演「日本の伝統とフランスの伝統」を大正期の「伝統主義論争」との関係から読み解くことで、この講演の問題意識を明らかにし、またそれがどのような改変を経て「日本人の魂へのまなざし」へと書き換えられたのかを検証した。また、「日本人の魂へのまなざし」と対をなす「ミカドの葬儀」(1927)について、クローデルの神道理解に着目して読解し、論文化した。以上の二論文により、1920年代にクローデルが構築した作詩理論の重要な背景となる日本文化に対する理解を、実証的に明らかにすることができた。
これに加えて、今年度は、クローデルの作詩理論を研究するにあたって日本の詩壇・文壇との交流の実態をより具体的に解明する必要があると考え、大正期の文芸雑誌や新聞等を集中的に調査した。その結果、これまでのクローデル研究で全く言及されていない詩誌『詩洋』のクローデル特集号を発見し、同誌の主要同人であった前田鐵之助とイナ・メタクサのクローデル受容について研究し論文を執筆した。同論文は査読に合格し、2022年度に刊行予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K12991
- 体系的課題番号 : JP20K12991
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
4-
Stella 41 339-356 2022年12月18日 査読有り
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仏蘭西学研究 (48) 18-36 2022年6月 査読有り
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Stella (40) 201-215 2021年12月 査読有り
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フランス語フランス文学研究 (119) 225-242 2021年8月 査読有り
MISC
1-
仏蘭西学研究 (48) 96-97 2022年6月 招待有り
書籍等出版物
1-
水声社 2023年7月 (ISBN: 9784801007246)
講演・口頭発表等
2-
科学研究費助成事業基盤研究(B)「上海フランス租界を結節点とする日仏中三か国の文化交流史」(課題番号:20H01302)研究会 2021年9月16日 招待有り
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日本フランス語フランス文学会 2020年度秋季大会 2020年10月24日