共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

統辞的な動詞主要部移動の批判的検証:統辞論-意味論間のミスマッチについて

日本学術振興会  科学研究費助成事業(基盤研究(C))  基盤研究(C)
  • 小林亮一朗

課題番号
21K00574
体系的課題番号
JP21K00574
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,640,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
840,000円

初年度は計画通り、「等位接続文における主要部移動分析の再検討」に着手した。主要部移動には通常、作用域関係を変化させるような意味的な効果が無いとされている。しかし、Lechner (2006)他は意味的な効果を持つ主要部移動が存在することを指摘している。これを踏まえ、(1)のような日本語における非構成素等位接続について、主要部と数量詞の作用域関係を観察することで、Koizumi (2000)他の分析に反論を提供した。この成果を論文としてまとめ、現在は出版に向けた準備を行っている。
(1) [マリーがビルに本を2冊]と[アンがジョンにペンを3本]あげた。
本研究は予定よりも順調に進んでおり、2年目に予定していた「「空付加詞読み」テストの妥当性再検討」についても、初年度に研究を開始することができた。日本語における主要部移動の有力な証拠とされている「空付加詞読み」について語用論的な分析を行い、その成果の一部を国際学会で発表した。
さらに「空付加詞読み」についての批判的検証を行う中で、Sato and Maeda (2021)他のverb-echo answers(VEAs)の分析に対して、主要部移動を仮定しない分析を反論として提案することができた。VEAsは(2A)のように疑問文((2Q))への応答であり、省略現象の一種として扱われている。
(2)Q: ジョンは夕飯を食べましたか? A: 食べましたよ。
動詞の時制辞への移動を想定せず、主語、目的語、付加詞などの要素について、独立に省略することでVEAsは派生されるという「非移動分析」を提案した。この成果については既に国際学会で発表をしており、今後も引き続き、分析の精緻化と論文としての出版を目指し、研究に取り組んでいく。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K00574
ID情報
  • 課題番号 : 21K00574
  • 体系的課題番号 : JP21K00574

この研究課題の成果一覧

論文

  8

講演・口頭発表等

  13