研究期間中、3本の論文、2回の研究報告（国際学会2回）を発表した。論文について、①彦根論叢に掲載された「イギリスの経済団体と国際的二重課税問題（2） ─1919年から1945年の Federation of British IndustriesとAssociation of British Chambers of Commerceの政治的活動を事例として─」では、Modern Record Centre所蔵のFBI史料、London Metropolitan Archives所蔵のABCCを用い、イギリスの経済団体が国際的二重課税問題についていかなる政治的働きかけを行ったかを実証的に明らかにした。②"Municipalisation, War, Tax and Nationalisation: Imperial Continental Gas Association in an Era of Turmoil, 1824-1987"では、LMA等が所蔵するICGA史料を用いながら、ICGAの歴史を政治的リスクとの関わりから分析し、Political capabilitiesが養われていく過程としてまとめた。③European Business History Association 2018年大会報告をベースにした"Corporate Structural Change for Tax Avoidance: British Multinational Enterprises and International Double Taxation between the First and Second World Wars"では、1914年から1945年の国際的二重課税問題が、イギリス多国籍企業の経営に与えた影響を分析し、現代的なタックス・プランニングが行われ、また、それが企業組織・戦略をも変化させていたケースがあることを確かめた。