共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

前近代エジプト農村社会の長期持続構造と環境・社会変動へのレジリエンス

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K00918
体系的課題番号
JP20K00918
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究の目的は、前近代エジプト農村部における農業・水利実践と行政の実態を再構成すること、さらに環境的・社会経済的な変動に対して農村社会や国家の諸制度がどのように反応したかを検討することである。今年度も国内外の出張・調査に大きな制約があったが、本研究前半の目標である、前近代エジプト農村社会の静態的な特徴を析出すべく、各自が担当する時代について考察を深めた。
研究代表者の高橋は、著書 The Ties That Bind: the Economic Relationships of Twelve Tebtunis Families in Roman Egypt を出版した。これは史料に恵まれた紀元後2世紀の一村落における地主層と農民との複雑な人間関係を、農地貸借、金品貸借、労働力の組織という3つの観点に注目して、再構築したものである。その結論は今後の前近代エジプト農村社会史研究において、村落のあり方の一つのモデルとして参照されることが期待できる。また『岩波講座世界歴史』に寄稿したローマ帝国社会全体の女性と性差の諸問題を論じた論考においても、エジプト農村部から得られる知見を盛り込んだ。
研究分担者の亀谷、熊倉もそれぞれ、初期イスラーム史の文脈の中でのエジプトの農村部の位置付け、オスマン帝国の支配下における農地管理と農村統治の特徴にふれる論説を執筆した。いずれも前近代のエジプトの静態的な特徴と当該時代の特徴の両方を意識したものであり、2023年度以降に出版予定の『岩波講座世界歴史』の関連巻に収録されることとなっている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K00918
ID情報
  • 課題番号 : 20K00918
  • 体系的課題番号 : JP20K00918

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  3