2020年4月 - 2023年3月
変形性顎関節症の発症に関与するリスク遺伝子の探索
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
変形性顎関節症は顎関節部疼痛や顎運動障害を生じさせ,症状が強い場合には患者のQOLを著しく低下させる.しかし,その発症機序には明確なエビデンスは存在せず発症が予知できないのが現状である.一方,顎関節以外の膝関節や股関節等における変形性関節症では,その発症に対する一塩基多型(SNP)の関与が報告されており,中でもFTO遺伝子の一塩基多型は四肢の変形性関節症のリスク遺伝子として注目を集めている.変形性顎関節症の発症に遺伝的要素が関与している可能性はあるものの,画像検査が大きな障壁となり,その影響を詳細に検討した報告は未だない.そこで本研究は,顎関節症患者を対象としてFTO遺伝子のSNP(rs8044769)と変形性顎関節症の関連を調査することを目的とした162名のSNP解析および多変量解析によりFTO遺伝子のSNPと変形性顎関節症の関連が明らかとなった.本研究は変形性顎関節症と特定のSNPの関連を示唆した初めての研究である.研究結果は海外ジャーナル(Clinical Oral Investigations)に掲載済みである.
上記の研究と並行して顎関節症患者の臨床症状に対する咀嚼筋痛,顎関節円板動態異常,変形性顎関節症の相対的影響度を調査した.その結果,関節円板の状態異常やOAの存在より,咀嚼筋痛の存在が顎関節症患者の臨床症状に与える影響が大きいことが明らかとなり,咀嚼筋痛の改善が優先的な治療目標となる可能性が示唆された.研究結果は日本顎関節学会雑誌に掲載された.
上記の研究と並行して顎関節症患者の臨床症状に対する咀嚼筋痛,顎関節円板動態異常,変形性顎関節症の相対的影響度を調査した.その結果,関節円板の状態異常やOAの存在より,咀嚼筋痛の存在が顎関節症患者の臨床症状に与える影響が大きいことが明らかとなり,咀嚼筋痛の改善が優先的な治療目標となる可能性が示唆された.研究結果は日本顎関節学会雑誌に掲載された.
- ID情報
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- 課題番号 : 20K18600
- 体系的課題番号 : JP20K18600