2020年4月 - 2023年3月
DNAとRNAによる複合バイオマーカーパネルを用いた膵癌治療アルゴリズムの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
前年度に行った解析に引き続き、循環血液中の腫瘍由来DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)の意義について下記を行った。膵癌に対して外科切除を行った114例の術前に採取した血漿を用いてKRAS遺伝子のmutation analysisを行い、術前における予後指標として意義について追加検証した。この解析から腫瘍由来のKRAS mutationを血中に認めた症例は極めて予後不良であること、画像診断における切除可能性分類や膵癌における唯一の生物学的指標であるCA19-9値とは独立した予後不良因子になることが分かった。それぞれの予後因子の有無をスコア化し、さらに組み合わせて利用することにより、切除を企図する膵癌患者の術前因子により予後の層別化が可能になることが見いだされ、新たな治療戦略構築に有用なバイオマーカーとしての意義を示すことが可能であった。
また、根治切除術を行った膵癌106例を対象として術前後のctDNAの経時的変化と予後との関連、その意義について検証した。この結果、術前ctDNA陰性例であっても術後にctDNA陽性化する症例は予後不良であり、術前のみならず術後もctDNAを評価する意義があることが示された。また、ctDNAの術前後の推移に基づき4群に分類したうえで、各群の予後、その特徴を解析した。まず、術前後とも陰性であった症例はそのほかの3群と比較し有意に予後良好であること、次に術前後に1回でもctDNAが陽性となった3群はいずれも同等の予後であることが示された。このことからそれぞれの群の再発形式に着目し追加解析したところ、術前後にctDNAが1回でも陽性となる症例では術前後とも陰性であった症例と比較し有意に肝再発率が高く、再発後の生存時間も有意に短いことが示された。術前後を組み合わせて解析することで、膵癌の治療成績に大きく寄与する肝再発症例の選別が可能になるdataが示された。
2022年度は下記研究を行う予定である。
1 腫瘍RNAの解析
また、根治切除術を行った膵癌106例を対象として術前後のctDNAの経時的変化と予後との関連、その意義について検証した。この結果、術前ctDNA陰性例であっても術後にctDNA陽性化する症例は予後不良であり、術前のみならず術後もctDNAを評価する意義があることが示された。また、ctDNAの術前後の推移に基づき4群に分類したうえで、各群の予後、その特徴を解析した。まず、術前後とも陰性であった症例はそのほかの3群と比較し有意に予後良好であること、次に術前後に1回でもctDNAが陽性となった3群はいずれも同等の予後であることが示された。このことからそれぞれの群の再発形式に着目し追加解析したところ、術前後にctDNAが1回でも陽性となる症例では術前後とも陰性であった症例と比較し有意に肝再発率が高く、再発後の生存時間も有意に短いことが示された。術前後を組み合わせて解析することで、膵癌の治療成績に大きく寄与する肝再発症例の選別が可能になるdataが示された。
2022年度は下記研究を行う予定である。
1 腫瘍RNAの解析
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09033
- 体系的課題番号 : JP20K09033