共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

多様な地球型惑星が持つ衛星系の起源・進化の統一的理解に向けた理論研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K13600
体系的課題番号
JP18K13600
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

申請書に記載したとおり、本年度は、円盤内での物質の昇華や凝縮を組み込んだ「1次元の物質の化学進化計算コード」の開発を行った。本研究の内容は、"天体同士の巨大衝突によって惑星周りに形成される円盤内での物質進化"、および、"太陽系などの惑星系形成過程の初期段階において太陽などの主星周りに存在するガス円盤(原始惑星系円盤)における物質進化"を理解するために重要となる。さらに本研究は、観測される衛星系の多様性を理解する物理・化学プロセスを明らかにすることを目的とする。また本研究の結果を、観測や惑星探査に役立てることを目的とする。
<BR>
本年度は、主星からの距離(動径方向)を1次元とする計算コードの開発において、円盤内での温度・圧力情報を解くことで、個々の粒子の物性に応じて昇華と凝縮を矛盾なく扱うコードの開発を行った。例えば、円盤内において、物質は動径方向の移動を行う。その過程で、物質が昇華・凝縮を経験することになるが、その動径距離は、物性によって異なる。それゆえに本研究では、各粒子に必要な物性の情報と混合率を与えることで、初期に異なる物質が混じり合った粒子でも矛盾なく昇華と凝縮を解くことが可能となった。さらに本年度は、巨大衝突によって形成されうる衛星系の多様性を理解するために、多数回の巨大衝突計算を行った。それによって、太陽系の外縁に存在する冥王星などの準惑星が持つ巨大な衛星系が、巨大衝突によって観測に矛盾なく形成されうることを明らかにした。このような結果は、「比較衛星学」として、地球型惑星が持つ衛星系の多様性を理解する上で重要となる。本研究は、平成30年度に国際学術誌(Nature Astronomy)に投稿し、平成31年度に査読を経て、受理された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K13600
ID情報
  • 課題番号 : 18K13600
  • 体系的課題番号 : JP18K13600