MISC

2005年

山地小流域におけるトチノキの開花と結実の変動パターン

日本生態学会大会講演要旨集
  • 川口 英之
  • ,
  • 名嘉真 希美代
  • ,
  • 溝内 正広
  • ,
  • 舘野 隆之輔
  • ,
  • 名波 哲
  • ,
  • 井鷺 裕司
  • ,
  • 金子 有子

52
0
開始ページ
316
終了ページ
316
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14848/esj.ESJ52.0.316.0
出版者・発行元
日本生態学会

京都大学芦生研究林内のモンドリ谷において,胸高直径10cm以上のトチノキ28個体の着花数と種子生産数を1997年から6年間調査し,個体および個体群レベルの変動パターンとその要因を解析した.雄花と両性花を含めた着花数は,花序をつけた当年枝の割合の観察とトラップを用いた落下数の測定によって得た式より推定した.種子生産数は落下した果皮数から推定した.<br> 6年間で25個体の開花が確認された.個体群全体の種子生産数は,最小と最大の年の間に10倍以上の差があった.6年間の豊凶は,豊並並並凶並の順となった.着花数の変動は種子生産数の変動に比べて極めて小さかった.開花は毎年おこり着花数の年変動は小さいので,開花から成熟までの間に豊凶が決定されると考えられた.個体レベルでは,多くの個体で着花と種子生産は大きく年変動し,明瞭な2年周期を示す個体がみられた.しかし,2年周期を示した個体のうちには豊作年にわずかしか開花しなかった個体もあり,個体群全体で強く同調しているわけではなかった.<br> 種子生産の年変動に影響する要因として,個体サイズ,平均種子生産数,谷内での渓流から斜面への地形に沿った生育場所をあげ,個体ごとの6年間の種子生産数の変動係数とこれらの要因との関係を検討した結果,斜面下部に生育する個体は,斜面中部に生育する個体に比べて,種子生産数の変動係数が有意に大きかった.<br> 種子生産の同調度に関係する要因について,開花時期の同調度,個体間の距離,遺伝子型の類似度,着花数の同調度と,種子生産数の同調度との相関を求めた結果,個体間の種子生産数の同調度と個体間の距離との間に有意な負の相関があった.種子生産の同調度は,個体間の距離が近いほど強いことが示された.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14848/esj.ESJ52.0.316.0
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902261968535552
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007010179
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/200902261968535552
ID情報
  • DOI : 10.14848/esj.ESJ52.0.316.0
  • J-Global ID : 200902261968535552
  • CiNii Articles ID : 130007010179

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