共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年8月 - 2023年3月

生物起源炭酸塩コンクリーションの初期続成メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
21K20381
体系的課題番号
JP21K20381
配分額
(総額)
3,120,000円
(直接経費)
2,400,000円
(間接経費)
720,000円

これまでに名古屋港海底未固結堆積泥中から産出したウニ,カニ,貝などを核として形成された炭酸塩コンクリーションを対象に,顕微鏡観察,X線を用いた元素マッピングを行った.また,コンクリーション外殻部・内殻部・化石本体部に分けて,安定炭素同位体比分析,元素組成分析,鉱物組成分析,放射性炭素年代測定を行い,炭酸塩コンクリーションの成因とコンクリーションの形成年代を検討した.産状として,名古屋港のコンクリーションはサイズが数mm~数cmであった.また,コンクリーションは沖積層から産出しており,未固結な堆積物中で形成されたと考えられる.特にカニ類は,骨格が維持されていることから,死後,急速にコンクリーション化したことが示唆された.
顕微鏡観察及び元素マッピングの結果,すべてのコンクリーション部に,1 mm程度のペレットが観察された.主要鉱物組成はドロマイトであり,ドロマイトが沈殿するような嫌気的な堆積環境下でコンクリーションが形成されたことが示唆された.安定炭素同位体比は,化石本体部よりコンクリーション部の方が重い値を示し,放射性炭素年代はおおよそ8000年前という結果が得られたが,総じて化石本体部よりコンクリーション部の方が数百年ほど古い値を示した.これは,コンクリーション部には,ペレットともに土壌有機物に由来する古い炭素が含まれているからだと考えられる.約8000年前は縄文海進の時期に相当し,浅海域に生息していた生物が環境変化によって死滅し,化石化したと考えられる.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K20381
ID情報
  • 課題番号 : 21K20381
  • 体系的課題番号 : JP21K20381