共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2005年

肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子を用いたパーキンソン病に対する遺伝子治療の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特定領域研究  特定領域研究

課題番号
17025024
配分額
(総額)
4,600,000円
(直接経費)
4,600,000円

我々は以前の検討で、ラットおよびサルにHGF遺伝子(naked plasmid DNA)を線条体内に投与しHGFを強制発現させておくことにより、その後に作成したパーキンソン病モデルにおける症状が軽減することをみいだし、またその効果がHGFによるドーパミン産生神経細胞に対する神経細胞保護効果であることを報告していた。今年度は、ラットにおいてパーキンソン病モデルを作成後にHGF遺伝子を投与し、治療効果の検討を行った。
モデル作成後、2週間後にメタアンフェタミン(MAP)、アポモルフィン(APO)を投与し行動を評価、3週後にコントロールベクターあるいはHGF遺伝子(naked plasmid DNA)100μg(線状体のみ投与群)、125μg(線状体+黒質投与群)した(各n=10)。コントロールベクター投与群では、MAP負荷、APO負荷により回転数は6-OHDA投与後より次第に増加した。これに対し、HGF遺伝子を線状体と黒質内に投与したラットではMAP,APO負荷のいずれにおいても明らかな改善を認めた。HGF遺伝子を線状体のみに投与した群では、投与6週間後の時点でMAP負荷では改善傾向を認め、APO負荷では明らかな改善を認めた。黒質におけるTH陽性細胞数は、コントロールベクター投与群ではモデル動物と同様にほぼ消失したままであったが、それに比較し、HGF遺伝子線状体投与群では10%程度まで回復、HGF遺伝子線状体+黒質投与群では70%程度まで著名な回復が認められた。
以上のように、6-OHDAによるラットのパーキンソン病モデルでは、HGF遺伝子を脳内に投与することにより明らかに行動異常が改善した。特に、黒質および線状体の両方にHGF遺伝子を投与する方が線状体のみに投与する方法より効果があることが本検討より示された。

ID情報
  • 課題番号 : 17025024