2021年4月
【甲状腺癌の過剰診断を考える】[放射線事故後の甲状腺癌スクリーニング]原発事故後の甲状腺癌スクリーニングの是非 国際研究機関の提言を中心に(簡潔表題:甲状腺癌検診への国際的な提言)
日本甲状腺学会雑誌
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- 巻
- 12
- 号
- 1
- 開始ページ
- 52
- 終了ページ
- 56
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本甲状腺学会
幼少時の放射線被ばくは甲状腺の発癌因子の一つであり,よって原発事故などの被ばく歴がある人は,中等度以上の線量では甲状腺癌ハイリスク群と考えられる。チェルノブイリや福島の原発事故後では,甲状腺癌スクリーニングが調査として行われた。しかし,近年の超音波を用いた甲状腺癌スクリーニングは,著しい過剰診断を促し,早期発見に伴う早期治療の利益は明らかではない。一方,原発事故後は,科学的健康調査と健康不安に対する対応が求められ,その一環としてスクリーニングが行われがちとなる。ただし,甲状腺癌スクリーニングは,その害に比して,受診者にそれを上回る何らかの複合的利益が見込まれるのかどうかがはっきりしていなかった。国際がん研究機関(IARC)の専門家グループなどによる最近のレビューでは,原発事故後においても集団的なスクリーニングは行ってはいけないとされた。どのような考えに基づき勧告がなされたかを紹介する。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2185-3126
- 医中誌Web ID : 2021345049