共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

PPPDに対する聴覚伝導路を用いた感覚代行トレーニングの有用性の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09751
体系的課題番号
JP20K09751
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究の目的は、前庭覚、視覚、体性感覚に加えて聴覚刺激を用いた感覚代行を第4の平衡情報として入力することにより、視覚入力、体性感覚入力の重みづけ、過剰反応をリセットし、PPPDの病態に即した新たな治療法を構築することである。
感覚代行とは感覚情報を本来とは別の感覚系で中枢へ伝達することで、平衡情報の感覚代行では、腰部の振動刺激、舌の電気刺激や下顎の振動刺激を用いた研究がすでに報告されている。われわれは共同研究者である長岡技術科学大学工学部の和田森らとともに、聴覚刺激を用いてセンサーをヘッドホンに組み込んだデバイスの開発を行っている。まず新規平衡センサー(V-box)を開発した。V-boxは9軸のモーションセンサーを搭載し、ヘッドホンに固定することで頭部の角速度を測定する。V-boxで得られたデータはタブレットへ転送して平衡情報を音刺激に変換し、ヘッドホンから音刺激として出力する。前に傾くほど低音、後ろは高音、左右に傾くほどその方向からの音量が大きくなる。V-boxの感知角度に閾値を設定し、閾値以下の頭部偏位が少ないと無音、閾値以上に偏位するとヘッドホンから傾きに応じて音が出るように設定した。
この感覚代行デバイスを用いて、感覚代行の有無による視覚依存性、体性感覚依存性の変化を検討した。対象はめまい症状のない健常者6名、重心動揺計に乗りながらヘッドホンの音に応じて頭部偏位を戻して無音領域を保つように平衡維持させた。感覚代行の無音領域を3°, 1.5°に設定し、それぞれの重心動揺検査で視覚依存性を表す速度ロンベルグ率、体性感覚依存性を表す閉眼ラバー比を比較検討した。速度ロンベルグ率、閉眼ラバー比ともに3°、1.5°の間に有意差を認めなかったが、1.5°、つまり無音領域を狭くして聴覚刺激がより多くなると、ともに1.0に近づき、視覚依存性、体性感覚依存性が減少する傾向にあった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09751
ID情報
  • 課題番号 : 20K09751
  • 体系的課題番号 : JP20K09751