共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

赤城大沼における放射性セシウムのスペシエーション分析による動態解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 岡田 往子
  • ,
  • 薬袋 佳孝
  • ,
  • 長尾 誠也
  • ,
  • 角田 欣一
  • ,
  • 木川田 喜一
  • ,
  • 渡辺 峻
  • ,
  • 松浦 治明
  • ,
  • 森 勝伸

課題番号
18K04995
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

福島第一原子力発電所事故に伴う赤城大沼の放射能汚染においては事故後約7年が経過して新たに以下の2つの研究課題に直面している。すなわち「事故直後に90%の放射性Csが湖底質に分布するに至った原因」および「H27年以降、湖水とワカサギの放射性Cs濃度が一定(下げ止まり)となった原因」の解明である。これらの課題に解答を与えるべく、本年度は以下の研究を推進した。
赤城大沼湖水中の放射性Cs濃度の下げ止まりについて、その原因を追究するために湖底質と湖水間の放射性セシウム(Cs)の分配係数の測定を実施した。特に分配係数の値に影響を与える種々のパラメーターについて検討を行った。一方、湖水の水深別放射性Csの濃度変化を調査し、湖底堆積物からの放射性Csの再溶出の可否についても検討した。また、採取した赤城大沼湖底堆積物を用いて、ミリQ水と湖水に対する放射性Csの溶出性をバッチ実験により検討した。その結果、溶出率は1%未満であるものの、堆積物の放射性Cs濃度が高いことから溶出液の放射性Cs濃度は0.34~2.96 Bq/Lと高く、夏季の底層水の放射性Cs濃度増加に寄与する可能性が示唆された。湖水中の安定セシウム(Cs-133)濃度を溶存態と懸濁態とで分別定量するにあたり、試料前処理方法ならびに分析条件の検討・最適化を行い、妥当な分析値を得られるに至った。湖底質からのCsの溶出機構解明を目的に赤城大沼から採取した湖底質に安定Csを含む蒸留水、湖水を用いて吸着させた後に蒸留水、湖水、アンモニア水の3種類の各種液体で洗浄後、広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定により湖底質中のCs近傍構造を評価した。放射性Csの湖底質に対する吸着測定を行った。底質中の間隙水に含まれる放射性Csを分析し、季節的な変動を調査した。また、中性子放射化分析法を用い、深さ別の底質中に含まれる安定Csの分析を行った。