共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

環境再生デザインの公共社会学:修復的環境正義の実践的理論構築に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H00920
体系的課題番号
JP18H00920
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
15,470,000円
(直接経費)
11,900,000円
(間接経費)
3,570,000円

本年度は戦後日本の被災地や公害・開発の跡地における環境・地域再生の通史的事例調査・分析を各自進めた。同時に、事例の国際比較によって分析視角と理論枠組みをより深く議論するため、ゲストスピーカーを招き環境正義に関する国際ワークショップを行った。核開発跡地の環境再生と環境ジェントリフィケーションに直面する米国先住民の事例、原子力発電所開発後および核廃棄物処理場の地域再生に関する台湾の事例から、「正義」「再生」「社会的包摂」について、これらの概念と結ばれている現象、意味・価値付け、規範、社会実践について検討した。
また、各自の事例研究について研究会を開き、国際ワークショップの成果と併せて、次年度以降の課題の整理を行った。
(1)日本の公害および開発跡地において「正義」や「再生」という言葉が「使われてこなかった」文脈、これらの言葉が内包する文脈と現場との緊張関係、同時に人びとによって用いられてきた異なる語彙群の所在が明らかになった。次年度は具体的に複数の意味と文脈、およびそれらの相互連関と緊張関係の分析に移る。そのためには、公害被害者・支援者たち、巨大開発跡地における生活者らの生活実践と言説の分析と同時に、戦後の法制度上における公害対策の中の環境・地域再生と関連政策における語彙群の分析(農林水産業など第1次産業内の、あるいは他産業への配置転換政策などの補償政策を中心に)を行い、連関させて分析する必要があることが明らかになった。
(2)災害・公害・開発跡地の再生に加えて、自然保護・緑地創造においても新自由主義型の資本空間再編が進んでいることが明らかになった。「災害資本主義」と指摘される現象とあわせて、資本と金融のフローが生み出す「再生」の新しいモードについて、既存研究とのすりあわせから、持続可能性、レジリエンス、気候変動などに対応した政策と市場形成も含めて議論する必要性が明らかとなった。
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リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H00920
ID情報
  • 課題番号 : 18H00920
  • 体系的課題番号 : JP18H00920

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  3