共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

ペプチド固定化技術による抗血栓性と内膜再生性を兼備したePTFE人工血管の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K12087
体系的課題番号
JP18K12087
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

2018年度は、研究計画調書に記載の(1)およびに(2)の一部について検討し、以下の成果を得た。
(1)ペプチド固定化効率の高いチロシンアンカー配列の設計
チロシンアンカー配列にリジン残基もしくはグルタミン酸残基を導入したフィブロネクチン由来ペプチド、Ac-(Tyr-Lys)3-Gly3-Leu-Asp-Val (YK3)およびAc-(Tyr-Glu)3-Gly3-Leu-Asp-Val (YE3)を汎用のFmoc固相法で合成し、高純度の両ペプチドを得た。ePTFEフィルムを各ペプチド水溶液に浸漬させ、触媒/酸化剤を添加して50℃で24時間反応後、充分に水洗して試料表面を解析した。その結果、YK3(触媒/酸化剤添加)が他の群と比較して優位に水接触角が減少し、かつXPSでのペプチド由来窒素も強く検出された。さらに、この方法でePTFEフィルム上に固定化されたYK3は、高濃度のSDS水溶液もしくは塩化ナトリウム水溶液で洗浄しても保持されていたことから、チロシン残基とリジン残基間がマイケル付加反応によって架橋構造を形成することで安定な疑似自己組織化層を形成したことが示唆された。
(2)ペプチド固定化ePTFE基材上への細胞・血小板接着性の評価
YK3を固定化したePTFEフィルム上にヒト血小板(健康なドナーから提供された全血より多血小板血漿を調製・倫理委員会の承認を得て実施)した。その結果、未修飾とほぼ同様に、YK3を固定化したePTFEフィルム上には血小板は粘着しなかった。血小板はカチオン性表面には粘着する傾向があることを踏まえると、YK3分子中のリジン残基はチロシン残基と反応し、血小板の粘着を引き起こすほどの未反応遊離アミノ基が残存していないことが示唆された。引き続き、YK3固定化ePTFEフィルム上への血管内皮細胞や間葉系幹細胞の接着性を評価し、LDVリガンド固定化効果を検証する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K12087
ID情報
  • 課題番号 : 18K12087
  • 体系的課題番号 : JP18K12087