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2015年7月10日

Levofloxacin500mg単回投与における前立腺組織移行性の検討

日本化学療法学会雑誌
  • 定平卓也
  • 定平卓也
  • 和田耕一郎
  • 和田耕一郎
  • 上原慎也
  • 上原慎也
  • 山本満寿美
  • 光畑律子
  • 能勢宏幸
  • 能勢宏幸
  • 石井亜矢乃
  • 石井亜矢乃
  • 狩山玲子
  • 渡辺豊彦
  • 渡辺豊彦
  • 公文裕巳
  • 公文裕巳
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63
4
開始ページ
406
終了ページ
410
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本化学療法学会

フルオロキノロン系薬は濃度依存性に殺菌作用を示し、尿路性器感染症においても広く使用されている。近年は淋菌や大腸菌、緑膿菌などにおいてフルオロキノロン耐性化が問題となっているが、2009年にフルオロキノロン系薬の一つであるレボフロキサシン500mg製剤が販売開始となり、それまでの100mg製剤の投与に比べPK-PD理論に沿う投与法となった。今回、レボフロキサシン500mg単回投与の前立腺組織に対する移行性を検討した。対象は経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を予定された患者で同意が得られた症例。尿路性器感染症を有する症例や1週間以内のフルオロキノロン系薬の投与歴のある患者、腎機能低下症(推定糸球体濾過量eGFR30mL/min/1.73m2以下)例は除外した。手術開始2時間前にレボフロキサシン500mgを経口摂取し、手術開始時に前立腺組織0.5gと血液を採取した。薬物濃度は液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法で測定し、患者背景や有害事象とともに解析した。エントリーされた5例の平均年齢は72.5±3.5歳、平均前立腺容積は56±21mL、術前の平均前立腺特異抗原(PSA)値は3.56±2.17ng/mL、推算糸球体濾過量eGFRは65.1±13.6mL/min/1.73m2であった。平均切除重量は25.0±13.0gで、術後平均7±3日で退院した。抗菌薬によると思われる有害事象、術後の尿路感染症はみられなかった。1例からGleason score:3+2の腺癌が検出された。血清中のレボフロキサシン濃度は平均5.97±0.50μg/mL、前立腺組織中のレボフロキサシン濃度は平均6.65±2.95μg/gであった。平均対血清比(前立腺組織内濃度/血清中濃度:T/S比)は1.115±0.445で、レボフロキサシンの高用量投与でも良好な前立腺組織への移行が示された。また有害事象や術後の感染症もみられず、臨床的にもレボフロキサシン500mg製剤の安全性、有用性が示唆された。(著者抄録)

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201502202943552799
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201502202943552799
ID情報
  • ISSN : 1340-7007
  • eISSN : 1884-5886
  • 医中誌Web ID : 2015306289
  • J-Global ID : 201502202943552799

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