2019年4月
12脳神経検査により早期診断された占拠性病変による有痛性三叉神経ニューロパチー
日本口腔顔面痛学会雑誌
- 巻
- 10
- 号
- 1
- 開始ページ
- 31
- 終了ページ
- 36
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本口腔顔面痛学会
目的:腫瘍に随伴する三叉神経痛は占拠性病変による有痛性三叉神経ニューロパチー(ICHD3β:13.1.2.5、以下PTN-SOL)に分類される。三叉神経痛の約10%がPTN-SOLとされ、歯科領域からの報告も多く、三叉神経痛はPTN-SOLの可能性も考慮した早期診断が重要である。今回われわれは、12脳神経検査で早期診断に至ったPTN-SOLの1例を経験したので報告する。症例:70代女性、下顎右側歯痛を主訴に来院した。2012年12月、食事中に下顎右側小臼歯部に一過性の強い痛みを自覚し近歯科受診した。三叉神経痛疑いで当科紹介となるも、痛みが消失したためすぐに受診せず、2013年7月に痛みが再発したため当科初診となった。疼痛構造化問診では、食事や歯磨きで誘発される痛みで、中〜強度の数分続く発作痛と軽度の20分続く持続痛であり、しびれを随伴していた。典型的三叉神経痛ではないため、より詳細な医療面接を行ったところ、右側オトガイ部の知覚鈍麻を認めた。また12脳神経検査では、右側三叉神経第3枝の知覚低下、複視および眼球運動障害が確認された。MRIでは鞍結節および海綿静脈洞周囲の腫瘍性病変が認められたため脳神経外科に診察を依頼した。結果:最終診断としては、鞍結節および海綿静脈洞髄膜腫によるPTN-SOLと考えられた。結論:PTN-SOLの早期診断のために12脳神経検査の重要性が示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1883-308X
- 医中誌Web ID : 2019259951