論文

2021年5月

顔面痛を主訴に来院したメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1例

日本口腔顔面痛学会雑誌
  • 浅野 崇浩
  • 矢島 祥助
  • 安井 真梨子
  • 落合 駿介
  • 遠藤 友樹
  • 吉川 桃子
  • 西須 大徳
  • 佐藤 仁
  • 黄地 健仁
  • 莇生田 整治
  • 臼田 頌
  • 中川 種昭
  • 村岡 渡
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13
1
開始ページ
69
終了ページ
77
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本口腔顔面痛学会

症例の概要:今回われわれは、関節リウマチ(RA)およびシェーグレン症候群(SjS)で当院通院中に、左顔面痛を主訴に当科を受診し、メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)と診断された症例を経験したので報告する。患者は69歳女性で、既往歴として17年前よりRAと診断され、長期にメトトレキサート(MTX)とプレドニゾロンを使用していた。また、SjSにより、たびたび耳下腺の腫脹を認めていた。受診時、左鼻翼下の水疱と耳下腺部軽度腫脹を認め、左三叉神経第2枝帯状疱疹およびSjSによる左耳下腺炎として初期加療を開始したが、耳下腺部の腫瘍性病変が疑われ、生検の結果、MTX-LPDと確定診断された。考察:RAやその治療に対するMTX投与は、口内炎や帯状疱疹発症の危険因子となることはよく知られている。今回、SjSにて耳下腺の腫脹を繰り返していた通院患者が左顔面痛にて来院したが、急性症状としての帯状疱疹のみならず耳下腺部にMTX-LPDを生じたことは、鑑別診断に苦慮した一因になったと考えられた。結論:RAやSjSといった自己免疫疾患患者は、歯科・口腔外科に日常的に通院しており、MTX等の免疫抑制薬を使用していることも多い。口腔顔面領域に痛みを生じた際には、病態が複雑化していることを考慮し、帯状疱疹や悪性リンパ腫などさまざまな鑑別疾患を踏まえ、関連他科と連携し慎重に対応することが重要である。(著者抄録)

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ID情報
  • ISSN : 1883-308X
  • eISSN : 1882-9333
  • 医中誌Web ID : V604390010

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