共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

ラパマイシンとBMPの相互作用の解析と硬組織再生治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K10177
体系的課題番号
JP19K10177
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

歯及び骨の形成へのBMPとラパマイシンの作用を調べるため2種類の実験を行った。歯の形成については、ブタ歯髄由来の象牙芽細胞様株細胞(PPU-7)を用いた3次元培養とマウスの歯胚を用いた器官培養でその効果を検討した。その結果PPU-7を用いた3次元培養ではBMPにより細胞塊は球形に大きく成長し、非脱灰標本では厚い細胞層に囲まれた石灰化組織が観察された。脱灰標本では中心部の石灰化組織は細胞成分と有機質基質から構成されていることが明らかとなった。ラパマイシンを投与すると球形の細胞塊は小さくなり、組織標本では石灰化部位を取り巻く周囲の細胞層が薄くなっていることが観察された。脱灰後カルシウムを測定すると、BMP投与では細胞塊は大きくなりカルシウムの絶対量は増加するが、球形の細胞塊の体積あたりのカルシウム含有量はBMP未投与の群と大きな差はなかった。ラパマイシンの投与では細胞塊の体積あたりのカルシウム量は著しく増加した。以上の結果からBMPは細胞分裂と基質形成を促進し、ラパマイシンは石灰化を促進することが明らかとなった。マウス歯胚の器官培養系でもマイクロX線撮影と組織標本の結果から象牙質の形成に関して同様の傾向が認められた。
骨形成に関する研究では、マウス筋由来の骨芽細胞系株細胞(C2C12)を用いて、BMPとラパマイシンの効果を調べると共にこれら物質の作用に影響を与える物質について検討した。その結果、 BMPとラパマイシンそれぞれ単独でもアルカリホスファターゼ(ALP)活性の上昇と石灰化の促進が認められ、両者を同時に加えると相乗効果的にどちらの反応も著しく促進された。またBMPやラパマイシンの効果を促進または抑制する物質がいくつか見つかり、これらを用いて現在シグナル伝達経路の解析中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K10177
ID情報
  • 課題番号 : 19K10177
  • 体系的課題番号 : JP19K10177