61歳男性。胸部異常陰影を主訴とした。大細胞神経内分泌癌の脳転移に対する開頭脳腫瘍摘出術後にCTで左肺S1+2に18mm大の充実性の結節陰影を認めた。左上葉肺癌脳転移治療後oligometastasisと診断し、左肺上葉切除術を行った。手術は腫瘍を含む左肺S1+2部分切除を行い、術中迅速組織診断は大細胞神経内分泌癌であった。続いて、縦隔型の下葉肺動脈を認め、これを温存しながら、上下葉間を形成し、A1+2C、A3、A1+2a+bを順次処理した。上葉気管支より腹側で縦隔型の肺動脈の分岐を認め、縦隔型舌区肺動脈の存在や縦隔型下葉肺動脈との関係性が不明であったため、まず上葉気管支を処理した。基部を共有する舌区肺動脈と縦隔型下葉肺動脈を認め、舌区肺動脈を切離して、縦隔型の舌葉肺動脈を温存し、上肺静脈を切離して左肺上葉切除を行った。術後10日に軽快退院し、退院後の造影CTで縦隔型の下葉肺動脈はA8b+9+10であると確認した。