2020年4月 - 2023年3月
肥満・糖尿病における腸管液性免疫機構の解明:腸管IgAの時空間的変化の解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
肥満や糖尿病は世界的に流行する栄養障害であり、それらが誘発する症状の一つとして、腸管免疫機能が低下することが知られるが、腸管液性免疫おける免疫細胞の分布などの形態的特徴は不明点が多い。昨年度までの研究では、通常食および高脂肪食を投与した12週齢と20週齢マウスの比較において、通常では20週齢までに増加する空腸絨毛中の免疫グロブリンA(IgA)保有細胞が高脂肪食投与によって抑制されることが示唆された。当該年度はIgAおよびIgA保有細胞に対する高脂肪摂食の影響をさらに解析するために、通常食と高脂肪食のIgA保有細胞の差が明確であった20週齢マウスに着目した。
4週齢から20週齢にかけて通常食を投与した通常食マウスと、同期間に高脂肪食を投与した食事誘発性肥満モデルマウスを再度作製し、マウスの空腸および回腸を標的臓器として生体内凍結技法-凍結置換法によって固定し、パラフィン包埋試料を作製した。現在は、免疫組織化学的解析および蛍光抗体法による解析に着手している。
結果として、通常食を投与した20週齢マウスの空腸絨毛の粘膜固有層において、IgA+CD22-形質細胞およびIgA+CD22+B細胞を豊富に観察した。一方、高脂肪食の空腸絨毛においては粘膜固有層の絨毛基部(筋層側)にIgA+CD22-形質細胞が分布し、絨毛尖部(管腔側)にはIgA-CD22+B細胞の分布する偏りを観察した。回腸においてはIgA+CD22-形質細胞の分布は通常食と高脂肪食において同様であった。しかし、空腸絨毛で観察されたIgA+CD22+B細胞は、通常食および高脂肪食の回腸絨毛における分布はわずかであった。したがって、空腸および回腸においては、IgAによる腸管免疫の機序が異なる可能性を示唆した。
4週齢から20週齢にかけて通常食を投与した通常食マウスと、同期間に高脂肪食を投与した食事誘発性肥満モデルマウスを再度作製し、マウスの空腸および回腸を標的臓器として生体内凍結技法-凍結置換法によって固定し、パラフィン包埋試料を作製した。現在は、免疫組織化学的解析および蛍光抗体法による解析に着手している。
結果として、通常食を投与した20週齢マウスの空腸絨毛の粘膜固有層において、IgA+CD22-形質細胞およびIgA+CD22+B細胞を豊富に観察した。一方、高脂肪食の空腸絨毛においては粘膜固有層の絨毛基部(筋層側)にIgA+CD22-形質細胞が分布し、絨毛尖部(管腔側)にはIgA-CD22+B細胞の分布する偏りを観察した。回腸においてはIgA+CD22-形質細胞の分布は通常食と高脂肪食において同様であった。しかし、空腸絨毛で観察されたIgA+CD22+B細胞は、通常食および高脂肪食の回腸絨毛における分布はわずかであった。したがって、空腸および回腸においては、IgAによる腸管免疫の機序が異なる可能性を示唆した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K19690
- 体系的課題番号 : JP20K19690
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論文
1-
International Journal of Molecular Sciences 22(3) 1165-1165 2021年1月25日 査読有り