MISC

2017年

長野県北信地方における煙火産業の地域的特徴

日本地理学会発表要旨集
  • 坂本 優紀
  • ,
  • 竹下 和希
  • ,
  • 小林 愛

2017
0
開始ページ
100156
終了ページ
100156
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14866/ajg.2017s.0_100156
出版者・発行元
公益社団法人 日本地理学会

1. 研究背景と目的<br>&nbsp; 日本の煙火の歴史は古く,戦国時代に伝わったと言われている.その後,江戸時代に入ると,神社の祭礼に奉納する風習が奨励され,全国的に煙火の技術が広まった.当時,煙火の製造を担っていたのは氏子である,農民や町民であった.<br>&nbsp; 本発表の対象地である長野県北信地方でも,19世紀には製造されていた記録があり,当時は神社ごとの奉納煙火として住民らによって作られていた.明治期に入ると,爆発物に関する法律が施行され,製造業者の専業化が起こった.1916年時点で23社存在した業者であるが,現在は5社となっている.神社の祭礼は時代とともに変化しており,それに伴い煙火産業の需要も変化してきた.しかし,現在も産業が存立しているということは,地域的な消費の特徴と形態の多様化が考えられる.<br>&nbsp; そこで本発表では,長野県北信地方において奉納物として広がった煙火の現在的な利用形態を明らかにし,煙火産業から地域的特徴を議論することを目的とする.<br><br>2.対象地域 <br>&nbsp; 本発表の対象とする長野県北信地方は,長野市をはじめとする15市町村で構成されている.煙火産業に関する統計データをみると,生産額は新潟県に次いで全国2位,製造業者数は12社で全国1位である.生産額,業者数ともに長野県は日本有数の生産地である.そして,その中でも北信地方は5社の製造業者が立地しており,県内でも煙火産業の盛んな地域である.<br><br>3.結果と考察<br>&nbsp; 2014年に打揚げられた北信地方内の煙火723件に対し,打揚場所,目的,日時,打揚煙火業者,号数,玉数のデータを得た.目的別では,祭りが419件と半数以上を占めており,現在も祭りでの需要が高いことがわかる.打上日時も9月が166件,10月が119件と秋祭りの時期にピークを迎えている.打揚玉数では,8月,11月の順で多く,これは煙火大会の影響が大きい.このことから,北信地方の煙火消費は,小規模な集落の祭りと大規模な煙火大会がメインであることがわかる.<br>&nbsp; また,北信地方の地域性として挙げられるのがメッセージ煙火の多さである.これは,個人が各煙火の出資者となり,メッセージを煙火に付して打揚げるものである.このメッセージは個人的な祝福であるとともに,それを見る観客は出資者の近況を知る機会となっていることがわかった.<br>&nbsp; 一方,煙火業者の存続要因は,大規模な煙火大会だけではなく,小規模な大会や祭り等,様々なスケールでの煙火消費があるためである.また,業者間の営業範囲が地域毎に決まっており,そのことが小規模な業者の存続を可能にしていることも明らかとなった.<br>&nbsp; 以上のことから,北信地方における煙火産業は,地域の歴史や文化と密接に関係して発展しており,現在までそれらが引き継がれるとともに,新しく始まるイベントの煙火需要により存続してきた. &nbsp;

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14866/ajg.2017s.0_100156
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005635607
CiNii Resolver ID
http://ci.nii.ac.jp/nrid/9000347128567