2016年1月
透析患者の手根管症候群の随伴症状の緩和に五積散が有用であった3例
日本東洋医学雑誌
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- 巻
- 67
- 号
- 1
- 開始ページ
- 28
- 終了ページ
- 33
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本東洋医学会
慢性腎臓病で血液透析療法中の患者に合併した手根管症候群の随伴症状の緩和に五積散が有用であった3例について報告する。症例1は77歳女性。主訴は夜間就寝後の両腕痛による睡眠障害。症例2は66歳女性。主訴は夜間就寝後の右上下肢の電撃痛による睡眠障害。両症例ともに手根管症候群に対して複数回の手術歴があるが、その後も症状緩和のため定期的に手根管部へのステロイド局注を必要としていた。症例3は54歳男性。主訴は左手指先の痺れ。手根管症候群手術により同症状は一旦消失していたが再燃。3症例いずれも乏尿無尿の透析患者であるため体内に湿が蓄積されやすい状態にあること、また温めることにより症状の若干の改善をみたことから寒と湿が病態形成に関与していると考え五積散を処方したところ、速やかに自覚症状の改善が認められた。以上の結果は、寒湿の存在に注目した手根管症候群に対する漢方治療の有効性を示唆するものと思われた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0287-4857
- 医中誌Web ID : 2016152609