2021年7月 - 2025年3月
カイコの変異体を用いた胚葉分化の新たな生化学的要因の解明と昆虫制御剤開発への応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
カイコの変異体「腎臓形卵」ki変異体のホモ接合の母蛾が産む卵は、外観が歪んでおり、胚発生の途中で中胚葉組織が形成されずに致死するという大変興味深い表現型を示す。研究代表者らは、ポジショナルクローニングにより、ki形質の原因が、新奇なペルオキシダーゼをコードする遺伝子の欠損であることが明らかにしてきた。原因遺伝子の特徴から、コードするタンパク質は脂質合成を触媒する酵素であると予想された。そこで、今年度は腎臓形卵形質の原因解明のために、ki変異体(ki/ki)および正常蚕(ki/+)のそれぞれ蛹期の卵巣を経時的にサンプリングし、メタボローム解析(リピドーム解析)を行なった。ノンバイアスリピドーム解析を含むリピドーム解析を実施し、脂質を網羅的に解析したが、結果として量的有意差を示す化合物を一つも見出すことができなかった。
ki形質の原因遺伝子であるペルオキシダーゼをクエリーとして、ヒトをはじめとする動物ゲノムにコードされるタンパク質に対して再び相同性検索を行なった結果、相同性を示すペルオキシダーゼが多数あり、オーソロジーは不明瞭であった。すなわち、kiの原因遺伝子は、機能の知られていないタンパク質をコードしている。上記のリピドーム解析の結果と合わせて考察すると、kiの原因遺伝子がコードするタンパク質は、当初予想したように脂質の合成・代謝を支配するとは限らず、想定外の機能を含めて、より広く可能性を探る必要があることが明らかになった。
ki形質の原因遺伝子であるペルオキシダーゼをクエリーとして、ヒトをはじめとする動物ゲノムにコードされるタンパク質に対して再び相同性検索を行なった結果、相同性を示すペルオキシダーゼが多数あり、オーソロジーは不明瞭であった。すなわち、kiの原因遺伝子は、機能の知られていないタンパク質をコードしている。上記のリピドーム解析の結果と合わせて考察すると、kiの原因遺伝子がコードするタンパク質は、当初予想したように脂質の合成・代謝を支配するとは限らず、想定外の機能を含めて、より広く可能性を探る必要があることが明らかになった。
- ID情報
-
- 課題番号 : 21K19124
- 体系的番号 : JP21K19124