共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2010年

ドーパミン欠乏症のモデルとしてのカイコ変異体「黄体色致死」に関する研究

文部科学省  科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)  挑戦的萌芽研究

課題番号
21658017
体系的課題番号
JP21658017
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,200,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

カイコの突然変異体「黄体色致死」(lemon lethal)は、2齢幼虫が濃黄色を呈し、まったく摂食できずに致死する。この突然変異の原因がセピアプテリン還元酵素(Sepiapterin reductase ; SPR)の遺伝子の構造に異常が起きた結果、SPRの酵素活性が顕著に低下するためであることが明らかになっている。SPRは、チロシン水酸化酵素などの補酵素として使われるテトラヒドロビオプテリン(BH4)を合成する酵素であり、SPRの欠損はヒトや哺乳類でも発達障害や運動障害などの重篤な症状を引き起こす。本研究では、黄体色致死変異体にBH4を経口的に投与して治療を試みた。その結果、2齢幼虫が餌を食えるようになって成長をし、個体によっては成虫にまで達した。また、同様にドーパミンを経口投与したところ、やはり2齢幼虫で摂食ができるようになって成長した。しかし、セロトニンはあまり効果が見られなかった。これらの結果から、黄体色致死の原因は、BH4の不足によってチロシン水酸化酵素(tyrosine hydroxylase)の活性が低下し、ドーパミンの生産量が低くなったために、摂食行動に必要な神経活動ができないことであると考察した。ドーパミンの欠乏によって生じるヒトの病気に、パーキンソン病がある。パーキンソン病の遺伝要因の一つはSPRと強く連鎖している。本研究の結果は、カイコの黄体色致死変異...

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/p/21658017
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21658017
ID情報
  • 課題番号 : 21658017
  • 体系的課題番号 : JP21658017