基本情報

所属
大分大学 医学部 助教
学位
博士(医学)(大分大学)

ORCID iD
 https://orcid.org/0000-0003-4016-7676
J-GLOBAL ID
201801001426177085
researchmap会員ID
B000293625

外部リンク

研究歴

2002年に大分大学医学部を卒業後、同大学眼科に入局し、日本眼科学会専門医・指導医として、眼感染症・眼炎症疾患の診療に従事している。2014年に大分大学大学院医学系研究科博士課程を修了し、微生物学・免疫学を基盤とする基礎・臨床研究を通じて、重症・希少感染症を対象とした微量臨床検体による感染症分子診断技術の開発・標準化、体外診断用医薬品(IVD)の開発、薬事承認・保険適用を含む社会実装に取り組んでいる。

研究上の特徴は、感染症診断技術の開発を研究段階にとどめず、開発初期から薬事承認と診療実装を見据えて進めている点にある。企業、関連学会、多機関共同研究施設と連携し、全国多施設研究を基盤として、実臨床上の必要性に基づく対象病原体の選定、承認申請を見据えた予備性能試験、PMDA相談・薬事対応、医師主導臨床性能試験の設計・実施体制の構築、保険適用希望書における臨床的有用性の整理、診療ガイドラインへの反映、大学病院・基幹病院への導入支援、小規模医療機関を含む検査アクセスの改善、さらに国際展開までを一連の社会実装型IVD開発として推進してきた。

現在は、大学病院、基幹病院、クリニックおよび海外施設からなる88施設の多機関研究ネットワークを基盤として、企業単独では開発が困難な重症・希少感染症に対する複数のIVD開発を進めている。臨床性能試験、規制対応、保険適用および診療実装に関する知見を共有し、希少感染症領域におけるIVD開発モデルの構築と、感染症有事に迅速かつ柔軟に対応できる国内IVD企業の育成に貢献することを目指している。

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1.感染性ぶどう膜炎:多項目PCRキットの開発と社会実装

感染性ぶどう膜炎に対する多項目直接定量PCRキットの開発を推進し、約1,700検体に基づく対象病原体の選定、核酸抽出を必要としない迅速測定系の確立、複数のリアルタイムPCR装置に対応する測定条件の最適化を行った。2020~2021年度のAMED橋渡し研究シーズpreB、2022~2024年度のAMED橋渡し研究シーズFにより、PMDA対面助言、予備性能試験および全国医師主導臨床性能試験を実施し、企業への導出を経て、2025年に体外診断用医薬品として薬事承認を取得した。研究用試薬の段階から、全国49大学病院における先進医療導入に向け、倫理委員会、医事課、検査部等と直接調整した。また、外注検査センターとの連携により、小規模診療所を含む160施設以上から利用可能な全国的検査アクセス基盤を形成した。検査結果の報告単位、標準作業手順書および精度管理資料を整備し、定量結果をcopies/mLとして比較可能な検査体制を構築した。現在は、保険適用、適正使用、診療ガイドラインへの反映および海外展開に向けた取り組みを進めている。

2.感染性角結膜炎:臨床とサーベイランスを接続する多項目PCRキットの開発

2026~2027年度のAMED橋渡し研究シーズpreFにより、アデノウイルス、淋菌、クラミジア、HSV-1、VZVおよびアカントアメーバを対象とする、感染性角結膜炎多項目直接定量PCRキットの開発を企業と進めている。角結膜擦過物という微量固形検体から、核酸抽出を行わずに複数病原体を迅速に検出・定量する技術であり、他領域の微量固形検体への応用も期待される。臨床診療と感染症サーベイランスに共通して使用可能な標準化検査として構築し、将来的には、病院、検査センターおよびサーベイランス実施施設から得られる検査データを比較・集積可能な形で蓄積し、流行状況の把握に資するデータ基盤の形成を目指している。

3.感染性眼内炎:多項目直接PCRによる術中迅速診断

2020~2021年度のAMED橋渡し研究シーズAにより、感染性眼内炎における細菌および薬剤耐性遺伝子を対象とした多項目直接PCRの開発を進めた。術中に採取される微量検体を用いた迅速診断への応用を想定し、知的財産化および先進医療の継続・発展につながる技術基盤を構築した。

4.感染性角結膜炎:イムノクロマトの医師主導臨床性能試験と診療フローの構築

2022~2025年度に、HSV-1およびVZVを対象とするイムノクロマトキットについて、眼科領域での医師主導臨床性能試験を実施し、企業へ導出した。イムノクロマトを迅速かつ簡便な一次検査として位置づけ、陰性例や複数病原体の鑑別を要する症例については、高感度・多項目PCRを二次検査として用いる、段階的な診断フローの構築を目指している。

5.急性網膜壊死レジストリ研究:標準化検査を基盤とする重症・希少感染症リポジトリ

日本眼炎症学会による急性網膜壊死レジストリ研究(J-ARN)では、上記の多項目PCRキットが標準検査試薬として採用されている。研究分担者として、倫理一括審査、検査結果の標準化、データベース構築ならびに臨床情報・検体の集約体制の整備に、分子診断の立場から関与している。標準化された定量検査と臨床情報を統合することにより、病態、重症度および治療予後との関連を解析し、重症・希少眼感染症における診断・治療の向上につなげることを目指している。

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今後の目標

1.重症・希少感染症IVDの継続的創出

感染症法や関連ガイドラインにおいてPCR等の核酸検査が検査法として位置づけられている一方、実臨床で使用可能な承認IVDが整備されていない疾患は少なくない。これまでに構築した社会実装型IVD開発の手法と知見を共有し、人材育成および産学連携を通じて、企業単独では開発が困難な重症・希少感染症IVDを継続的に創出する。

2.多機関研究・リポジトリ運営経験を生かした全国データ共有体制の構築

医薬品開発業務受託機関(CRO)、PMDAおよび全国大学病院による一括倫理審査に対応した多機関研究基盤を有し、クリニックにおける倫理審査体制の整備も支援してきた。これらの経験を全国的なデータ共有体制の構築に展開し、診断薬、治療薬およびワクチンの研究開発に寄与する。

3.重症・希少感染症リポジトリ間の連携

開発した検査試薬が眼感染症全国レジストリの標準検査試薬として採用され、重症・希少眼感染症の臨床情報と検体が集約されている。共通する病原体を対象とする他診療領域の全国レジストリ・リポジトリとの連携を図り、疾患横断的な病態理解およびサーベイランスに貢献する。

4.標準化検査による感染症サーベイランスへの貢献

眼科領域の市中感染症について、臨床現場で簡便かつ迅速に病因診断を行えるIVDを整備する。臨床診療と感染症サーベイランスに共通して使用できる標準化検査とデータ基盤を構築し、流行の早期把握および感染対策に寄与する。

5.品質管理、精度管理およびレファレンス検査への応用

核酸抽出不要、試薬固相化、用手操作約1分という簡便性を有し、非熟練者を含む測定においても変動係数1.8%以下の安定した測定技術を確立した。この技術を、IVDの品質管理・性能評価、病原体検査法の標準化、精度管理およびレファレンス検査へ応用する。

6.眼科IVDの現地共同開発による国際連携の強化

製造販売企業による医療機器単一調査プログラム(MDSAP)への対応も見据え、欧米をはじめとする海外での薬事申請に向けた準備を進めている。各国の疫学、医療制度、検査体制および規制要件に応じたIVDの現地共同開発を基盤として、国際的な研究・臨床連携の強化に寄与する。

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学歴

  2

主要な論文

  86

書籍等出版物

  5

講演・口頭発表等

  149

共同研究・競争的資金等の研究課題

  11