基本情報

所属
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 技術主席 (グループリーダ)
学位
理学博士(新潟大学)

J-GLOBAL ID
201401012908746062
researchmap会員ID
B000242531

核燃料サイクル開発機構に入社後、再処理施設の放射線管理の現場にて、放射線モニタリング機器の開発に携わり、2006年には新潟大学の社会人博士課程において理学博士の資格を取得する。福島事故直後から、福島県を中心としたモニタリング技術に関わっており、有人のヘリコプターを用いた航空機モニタリング、無人機を用いたモニタリング等の国家プロジェクトの中心的な役割を果たしてきた。それらの成果は、2017年9月の公益社団法人計測自動制御学会論文賞武田賞受賞や2017年3月の一般社団法人日本原子力学会技術賞受賞として評価されている。

主要な論文

  108

主要なMISC

  81

書籍等出版物

  3

主要な講演・口頭発表等

  274

共同研究・競争的資金等の研究課題

  1

その他

  10
  • 2025年1月
    https://rdreview.jaea.go.jp/review_jp/rd_platform/rd_platform_j2024_9-3.html 本研究では、東京電力福島第一原子力発電所周辺の帰還困難区域解除のために実施されている除染作業のガイドラインで示されている作業員の被ばく評価方法の最適化を目的とし、2020年度に調査当時帰還困難区域であった住宅地5エリア(Site A~E)で行われた家屋解体及び土壌表面の被覆などの線量低減措置に伴う作業において、全作業員の外部積算被ばく線量を取得するとともに、一部の作業員の区域内の行動履歴をGPSによる位置情報として記録しました(図1)。本作業における作業員別の積算被ばく線量は最大で1.1 mSvでした(図2)。取得したGPSデータを元に、空間線量率から計算する計画値と実測した被ばく線量のデータから、計画値の精度の指標となる相対偏差(RD: Relative Deviation)を作業エリア及び作業種別ごとに計算しました。RD値は1.4をピークに分布しており、この数値は、計画値が実測値の2.4倍となることを意味します。また、計画値が過小評価となるRD値が負の数値となったのは全作業員の9 %程度であり(図3)、その作業のほとんどが森林内であったこと、線量低減作業前の作業が多かった解体工の計画値は他の作業と比較して実測値に近いことが分かりました(図4)。  本研究成果は、除染作業員の放射線防護手法の最適化につながると考えられます。
  • 8
    2024年12月 - 2024年12月
    原子力機構は、福島第一原発事故後の帰還困難区域における避難指示解除に向け、住民の安全を最優先にした新しい被ばく評価技術を開発。 本評価技術は、環境放射線モニタリングの結果、GPSによる位置情報及び屋内遮蔽係数などのパラメータをベースにシミュレーションする手法であり、個人線量計などによる実測なしに評価可能。 本評価技術の予測誤差は13%程度。 今回国際的に権威の高い科学雑誌 (Environmental International Impact factor:10)に論文が掲載され、その精度の高さと信頼性について、複数の専門家による徹底的な検証を経て確認。 この新技術で評価された被ばく線量結果は、各自治体の除染検証委員会での避難指示解除の判断の一助となっただけでなく、自 治体の役場やホームページから住民が自ら使用できる環境にあり、安全確保だけでなく安心感の醸成にも貢献。 今後予定されている特定帰還居住区域での避難指示解除にも活用が見込まれる。 予測結果と実際の被ばく線量に差異が生じた場合にも、原子力機構は迅速に対応できるモニタリング体制を整えており、住民の安全を最優先に守る方針を貫いている。 原子力機構は、今後もデータ収集を続け、モデルの精度をさらに高める努力を続ける。
  • 122
    2021年1月 - 2021年1月
    ◦これまで放射線測定データを解析し、線源分布などを推定するには、多くの情報を考慮した解析作業と、それに伴う多くの計算時間が必要でした。 ◦一方、東京電力福島第一原子力発電所(以下、「1F」)事故以来実施してきた、環境中の放射線分布(放射線マップ)の作成を通して、放射線測定の結果が、膨大なデータ(以下、「ビッグデータ」)として蓄積されています。 ◦原子力機構は名古屋大学と共同で、AI(人工知能)の一部である機械学習を活用し、無人航空機(以下、「UAV」:unmanned aerial vehicle)で取得したビッグデータから、迅速かつ精度よく放射線マップを作成する、新たな放射線測定データの解析手法の開発に成功しました。 ◦本手法を用いることにより、従来の手法に比べて30%以上精度良く地上の放射線測定値を再現した放射線マップを作成することができました。また、これまで1時間以上かかっていた解析作業を、数分で終えることができました。 ◦これにより、1F周辺の避難指示区域における詳細な放射線マップを迅速かつ精度よく作成することができ、除染や避難指示区域解除などの科学的根拠として役立つことが期待されます。 ◦今後は、学習データに写真による構造物の識別情報や気象条件の違いなどを付加することで、さらに精度を向上していきます。 ◦本手法は、UAVだけでなく様々な環境中の放射線測定に応用可能です。また、医療用の放射線測定や検出器の校正などへの応用も期待されます。
  • 129
    2020年1月 - 2020年1月
    ◦東京電力HD福島第一原子力発電所 (1F)構内においては、排水路に汚染水漏えいの可能性がある場合、排水路の水をサンプリングし、汚染水に多く含まれるストロンチウム90(90Sr)を想定したβ線計測を行っている。 ◦現状の管理ではβ線とγ線を区別できないモニターが多く、迅速な対応や効率化のために、水中での進む距離 (飛程) が短く直接測定することが難しいβ線をフォールアウト*起源のγ線と区別して計測できる簡便なリアルタイムモニタリング技術の確立が求められていた。 ◦JAEAなどは、β線とγ線を区別して、リアルタイムに測定できるファイバ型モニターの開発を行った。本モニターを1F現場や模擬的な汚染水を使って検証した結果、水中のβ線核種のストロンチウム(90Sr)をγ線と区別して検出することに成功した。 ◦β線のリアルタイムモニタリングが可能となることで、排水路の現場でサンプリング・分析を行うことなく、汚染水の漏えい有無の判断の迅速化及び作業員の負担軽減が期待できる。本モニターは、東京電力HDにより現場設置工事を行い、令和2年1月31日に運用開始予定。
  • 223
    2019年5月 - 2019年5月
    ◦JAEA、ウィンディーネットワーク及びJAMSTECは、これまでに蓄積された無人船運用の経験や開発技術をもとに、福島県浜通り地区の企業5社〔(株) K.S.E.、Takeru Software、(有)協栄精機、 (株) 磐梯マリーン、日本オートマチックマシン(株)〕がもつ技術を最大限活用し、組織の枠を超えてアイディアを結集することで、放射線の測定をはじめ様々な用途に活用可能な無人船(海洋のドローン)の開発に成功した。 ◦本無人船開発の中で、放射線だけでなく水温や電導度の計測及び海底土サンプルの採取が同時にできるシステムもあわせて共同開発し搭載することで、原子力発電所周辺の河口域の詳細なモニタリングを可能とした。また、音響測定システムを搭載することで世界でも例を見ない無人船による海底測量を実現した。 ◦本無人船は、有人船で行っていた海洋調査の時間やコストの縮減及び人が立ち入ることが困難な過酷環境における調査、人命救助、防災時のツールとしても活用できる。 ◦本成果は、福島イノベーション・コースト構想の一環である福島県地域復興実用化開発等促進事業費補助金事業1) の助成を受けている。 ◦本無人船の販売や測量サービスは、2019年度中に事業化予定。
  • 168
    2018年10月 - 2018年10月
    湖沼や河川の⽔底の放射性セシウムによる汚染実態把握は、農業再開に向けて重要な課題。 しかし、これまでの調査は柱状の底質試料を採取して、層ごとに分けて分析するため⼿間がかかっていた。 原⼦⼒機構は⽔底で測定したγ線スペクトル特性(散乱γ線と直接γ線)から、底質中の放射性セシウムの深さ分布を評価する⼿法を開発した。この成果により、湖沼・河川等で底質試料を採取しなくても、迅速かつ簡便に⽔底の放射性セシウムによる汚染実態を把握できるため、モニタリングの効率化が期待できる。
  • 73
    2018年3月 - 2018年3月
    ◦東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所事故の際に大気へと放出された放射性エアロゾル1)は、降雨に取り込まれて落下し、東日本に放射能汚染を引き起こしたと考えられていた。 ◦原子力機構、茨城大学等の研究チームは、航空機モニタリング2)と大気拡散モデルWSPEEDI-II3)のシミュレーションを用いた解析によって、東日本の山地では、放射性エアロゾルが霧や雲に取り込まれて落下していたことを明らかにした。 ◦この知見は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所事故の影響のあった山間部における汚染の実態解明に役立つと考えられる。また、PM2.5をはじめとする様々な大気汚染物質の挙動にも共通するものであり、環境科学分野の発展に役立つと期待されている。
  • 76
    2014年9月 - 2014年9月
    •無人ヘリコプターにより上空から詳細な放射性セシウム分布(位置分解能:約10m)を測定 •周囲からの放射線の影響を除き、汚染状況の高精度なマッピングが可能 •広範囲の除染箇所の特定や除染効果の確認作業の効率化に向けて大きく前進
  • 124
    2014年7月 - 2014年7月
    •ため池底の放射能分布の可視化に成功 •放射性物質対策の計画、放射性物質対策効果の確認に適用可能 •民間(水土里ネット福島)へ技術移転し、福島県内のため池底測定に利用
  • 68
    2012年6月 - 2012年6月
    ◦原子力機構とJAXAは双方の技術を持ち寄り、長距離飛行が可能な無人航空機による放射線モニタリングシステムの開発に向けて共同研究を開始 ◦本システムは、汚染区域の広範囲なモニタリングを可能とし、緊急時のモニタリングへの適用も可能 ◦有人ヘリによる航空機モニタリングと無人ヘリサーベイを補完するシステムとして貢献に期待