2016年9月
海水成分を含む硝酸溶液中でのSUS316Lの腐食挙動
Proceedings of European Corrosion Congress 2016 (EUROCORR 2016) (USB Flash Drive)
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- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
東京電力福島第一原子力発電所の事故では、使用済燃料プール内に冷却用として多量の海水が注入された。本研究では、再処理工程において使用される機器材料の一つであるSUS316Lの硝酸溶液中での腐食挙動について、硝酸/人工海水(ASW)混合溶液を用いた浸漬試験及び電気化学試験により、海水成分が与える影響を調査した。ASWを多く含む条件では、塩化物イオンと硝酸との反応により生成する塩素や塩化ニトロシル等の酸化種に起因すると思われるカソード反応の活性化及び全面腐食の進展が観察された。さらに硝酸濃度が低い条件では、孔食の発生が認められた。腐食速度については、低硝酸濃度では経時的に低下したのに対し、高硝酸濃度では逆に増加した。硝酸濃度が低い系では、カソード反応の活性化による影響(腐食促進)に対して酸化皮膜の成長に伴うアノード反応の不活性化による影響(腐食抑制)が徐々に大きくなるため、経時的に腐食速度が低下するものと考えられる。これに対し、硝酸濃度が高い系では、カソード反応の活性化による影響がアノード反応の不活性化による影響を上回るため、経時的に腐食速度が上昇するものと推定される。