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2019年8月

陽子入射反応における最前方方向の中性子生成二重微分断面積の測定

2017年度量子科学技術研究開発機構施設共用実施報告書(インターネット)
  • 佐藤 大樹
  • ,
  • 岩元 洋介
  • ,
  • 小川 達彦

開始ページ
1
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記述言語
日本語
掲載種別

数10MeV以上のエネルギー領域での陽子入射反応における前方方向の中性子生成に関して、理論模型および核データともに実験データの不足から予測精度の検証が十分になされていない。本研究では、原子力機構が開発している汎用放射線輸送計算コードPHITSの精度向上に資するため、最前方方向(入射軸に対して0$^{\circ}$方向)の中性子生成二重微分断面積の系統的な実験データ整備を進めている。平成28年度までに20, 34, 48, 63および78MeV陽子入射の測定を実施したが、絶対値に関する精度改善のため34MeV陽子入射に対しては、より薄い標的を採用して再測定した。実験では、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所TIARAのAVFサイクロトロンから供給される陽子ビームをC, Al, FeおよびPb標的に入射し、生成中性子を最前方方向に開いたコリメータを通して測定室に導き、シンチレーション検出器で測定した。また、PHITSでは、核内カスケード模型に基づくINCLおよび評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEにより、中性子生成の計算を行った。実験値と計算値との比較から、INCLはすべての反応に対して実験値よりも大きな値を与え、JENDL-4.0/HEはFeの結果を良好に再現するが、Alに対しては過大評価し、Pbに対しては過小評価した。本実験により、数10MeV領域の系統的な実験データ整備が完了したため、今後は断面積の入射エネルギー依存性等を解析し、計算コードの高度化に貢献する。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5062547

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