MISC

2015年1月

周辺衝突を再現するためのJAERI量子分子動力学モデルの改良

CERN Proceedings-2015-001
  • 小川 達彦
  • ,
  • 佐藤 達彦
  • ,
  • 橋本 慎太郎
  • ,
  • 仁井田 浩二*

開始ページ
301
終了ページ
306
記述言語
英語
掲載種別

重イオンの核反応が関係する宇宙活動や重粒子線がん治療などでは、原子核-原子核反応モデルが線量評価にとって重要であり、放射線輸送計算コードPHITSはその反応モデルとして、JAERI量子分子動力学モデル(JQMD)を採用してきた。このモデルにより、残留核や二次中性子の生成をある程度正確に計算することができたが、周辺衝突反応(原子核の中心同士が遠い場合に、核が互いに掠めることで起こす反応)による核種生成を過小評価する問題があった。周辺衝突反応を正確に再現するうえで必要なのは、衝突した場合としなかった場合の厳密な区別であるが、従来は原子核が衝突しなくても励起・分解していたため、その正確な区別が困難であった。そこで、原子核内における核子間の相互作用を相対論不変な形式に直し、衝突した場合の厳格な判定を行えるようにした。加えて、核反応前の原子核を時間発展させて崩壊しないかチェックする、核子間の弾性散乱断面積を核媒質内効果を考慮した新しい記述に変えるなどの工夫を行った。こうして作成した改良型JQMDを用いて計算したところ、フラグメント生成断面積の計算値のうち、特に周辺衝突反応で生成する核種の生成がより正確に計算できるようになった。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5049933

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