2020年3月
放射線輸送計算コードPHITSを用いた500mm$^3$ CdZnTe検出器の応答シミュレーション
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B
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- 巻
- 467
- 号
- 開始ページ
- 108
- 終了ページ
- 113
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1016/j.nimb.2020.02.014
CdZnTe(CZT)半導体検出器は室温で動作する特徴を有する一方、正孔の移動道が低く、負極で完全に収集されないため、負極から遠い位置で電離が生じた場合の検出信号が弱くなる。ガンマ線の検出において、電離の発生場所はランダムである。そのため、波高スペクトルは全吸収ピークから低エネルギー側に尾を引き、測定ごとに異なる形状となる。一方、Melechenkovskiらが提案した関数形により、CZT検出器の波高分布スペクトルを再現できることが示唆されていた。そこで、本研究ではPHITSのエネルギー付与スペクトルの計算機能を関数計の活用により拡張し、波高分布を付与エネルギーの関数として確率的に計算することを可能とした。計算結果は、$^{241}$Amの59keVから$^{60}$Coの1332keVまで、実験で取得した500mm$^{3}$のCZT検出器の波高分布データと比較した。その結果、ピーク付近のガウス関数型形状から、低エネルギー側の指数関数的減衰に至る過程を再現できることを確認した。この研究で開発、検証した機能は、検出器の現実的な動作を考慮した実験計画の立案や、検出器システムのデザインなどに有効となる。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.1016/j.nimb.2020.02.014
- ISSN : 0168-583X