共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

アルツハイマー病関連ペプチドp3-Alcの神経細胞への作用メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K07384
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

アルツハイマー病(AD)患者の急増が社会的な問題となっているが、根本的治療法は未だ確立されていない。ADの原因因子と考えられているAβやTauタンパク質をターゲットとした疾患修飾薬が開発されているが、現在までに認可されたものはなく、新たな治療ターゲットが求められている。申請者はこれまでにAD関連タンパク質であるAlcadeinの解析を行い、ファミリー分子の一つであるAlcadeinβの代謝産物p3-AlcβペプチドがAD発症に伴い脳脊髄液中で減少すること、さらにAD発症に抑制的に機能するペプチドであることを示唆するデータを得た。本研究は、初代培養神経細胞と遺伝子改変マウスを用いてp3-Alcβの神経細胞への作用メカニズムを解明することにより、なぜp3-AlcβがAD発症抑制的に機能するのかを明らかとし、新規AD治療法の開発につなげることを目的とする。
本年度はマウスの初代培養神経細胞を用いたメカニズム解析を行った。Aβはオリゴマー化することにより神経毒性を発揮する。初代培養神経細胞を用いた解析より、Aβオリゴマーによる神経細胞毒性が、p3-Alcβペプチドの添加により抑制されることを見出した。p3-AlcβはAβの細胞毒性を抑制するだけではなく、神経細胞の賦活化能を有することが示唆された。このため、p3-Alcβの作用メカニズムの詳細を明らかにすることにより、ADのみならず他の神経変性疾患に対する治療法開発にも貢献できる可能性がある。

ID情報
  • 課題番号 : 18K07384