2017年4月 - 2021年3月
発光性キラルイリジウム錯体膜を用いたアップコンバージョンシステムの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
- 課題番号
- 17H03044
- 体系的課題番号
- JP17H03044
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 17,680,000円
- (直接経費)
- 13,600,000円
- (間接経費)
- 4,080,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究の目的は、粘土面の2次元規則性に整合したキラル錯体間相互作用に着目し、高密度に規則配列した分子間でのエネルギー移動と3重項消滅反応によって光エネルギーアップコンバージョン系を実現することである。今までに本申請者らは、ラングミュア・ブロジェット法(粘土LB法)により両親媒性イリジウム(III)錯体と粘土鉱物ナノシートとの複合膜(厚さ数ナノメーター)を製造し、光エネルギー集約系や多色発光酸素センサーデバイスを実現してきた。2017年度は、長鎖アルキル基を有するイリジウム錯体を用いて、粘土LB法によりドナーとアクセプターとして働く2種の錯体を、混合割合を変えて合成サポナイトとの複合LB膜を製造した。得られた膜において、効率的なドナーからアクセプターへのエネルギー移動を利用した酸素センシングを実現し、オープンアアクセス論文として報告した。さらに、粘土ナノシートとの整合性の良いかさ高い配位子をもつキラルイリジウム(III)錯体を合成し、コロイド状合成サポナイトとの複合化を行った。低い吸着率においても、キラル体のほうがラセミ体よりも発光強度や発光寿命が長くなることがわかった。次に、キラルイリジウム錯体を吸着した合成サポナイト面を用いて、消光剤であるキラルルテニウム錯体を用いて挙動を調べた。その結果、高い選択率でエナンチオ選択性が見られた。同じ系のメタノール溶液中では、このようなキラル識別効果は見られず、粘土面上に均一に配向したイリジウム錯体が、その配位子のつくるミクロなキラルポケットを用いてキラル識別しているものと考察した。この結果は王立化学会のNew J. Chemの2018年4月号の裏表紙に採用された。さらにこのような粘土面での分子認識機構の解明に振動円二色性分光法の適用を検討した。また、分担者と共同の論文は日本液晶学会の表紙に採用された。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H03044
- 体系的課題番号 : JP17H03044