62歳男性。患者は洞不全症候群で永久ペースメーカー(VVIR70)植込み、ジゴキシン内服中であった。今回、右肩腱板断裂で肩関節形成術が予定されていた。術前検査では異常は認められず、術当日、麻酔中の徐脈性不整脈に対するペースメーカーの設定はVVIR50とした。麻酔開始時は心拍数・脈拍数ともに75beats/minと対応していたが、術中に自己心拍の出現で乖離し、心拍数111beats/min、脈拍数45beats/minとなったため塩酸ランジオロールの持続投与を開始した。投与開始15分後に心拍数72beats/min、脈拍数57beats/minとなり、塩酸ランジオロールを減量して手術終了まで投与した。抜管後に塩酸ランジオロールを中止したが、心拍数90beats/min、脈拍数70beats/minと乖離は小さかった。尚、麻酔中におけるT波の異常などは認められず、帰室後も胸部症状などの自覚症状は認めなかった。