論文

査読有り
2013年5月

クリスタルガラス製品の製造に伴って発生するブルーライトの有害性

産業衛生学雑誌
  • 奥野 勉
  • ,
  • 上野 哲
  • ,
  • 小林祐一
  • ,
  • 神津 進

55
3
開始ページ
85
終了ページ
89
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.1539/sangyoeisei.B12011
出版者・発行元
Japan Society for Occupational Health

目的:ガラス製品を製造する工場では,作業者は,炉,溶融ガラスなどの高温の物体が発生する強い可視光へ曝露される.ブルーライトと呼ばれる短波長の可視光への曝露は,網膜障害(photoretinopahy)を引き起こす可能性がある.本研究の目的は,ガラス製品の製造に伴って発生するブルーライトを定量的に評価することである.対象と方法:クリスタルガラス工芸品を製造する工場において,炉の内部の壁と発熱体,および,炉内に置かれたガラス材料の分光放射輝度を測定した.炉は,2基の再加熱炉,3基の溶解炉,1基の竿焼き炉を調べた.測定された分光放射輝度から,ACGIHの許容基準に従って,実効輝度を計算し,これを許容値と比較した.また,それぞれの光源について,分光放射輝度を黒体の分光放射輝度と比較し,その温度を求めた.結果:測定された実効輝度は,0.00498–0.708 mW/cm2srの範囲にあった.実効輝度は,1,075–1,516 ℃の温度の範囲において,温度と共に急速に上昇した.それぞれの光源の実効輝度は,同じ温度の黒体の実効輝度とほぼ等しかった.考察:炉の内部の壁と発熱体,および,炉内に置かれたガラス材料の実効輝度は,1日の曝露時間が104 sを超える場合の許容値である10 mW/cm2srの十分の一以下であった.したがって,これらの光源を見たとしても,網膜障害の危険性はないと考えられる.ただし,光源の温度が約1,800 ℃以上である場合には,実効輝度は,許容値を超えると推定される.このような高温の光源がガラス製品の製造の現場にある場合には,ブルーライトによる網膜障害の危険性があると考えられる.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1539/sangyoeisei.B12011
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10031159399
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10467364
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/024780679
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/10020764158?from=CiNii
URL
http://search.jamas.or.jp/link/ui/2013315914
ID情報
  • DOI : 10.1539/sangyoeisei.B12011
  • ISSN : 1341-0725
  • CiNii Articles ID : 10031159399
  • CiNii Books ID : AN10467364

エクスポート
BibTeX RIS