共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2008年

三次元的パターンマッチング法等の応用による土器製作者個人の高確度同定法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
18652073
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,400,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本年度は、これまでに得られた土器製作者個人の同定法に関する各種のデータについて、様々な角度から検討を行い、必要なものに関しては追加・補足的な実験・観察等を実施することで、一定の成果を挙げるよう努めた。印象材を用いたレプリカ法や、土器調整痕の製作実験等、多角的な検討を実施し、弥生土器以外の土器についても調査・実験を行って、これまで開発してきた方法の拡張性・一般性についての確認と、適用可能範囲について考察した。また、タイ北部で伝統的土器製作に関する海外現地調査を実施した。この調査は、研究室では得がたい実際の場面での確認という意義をもち、利き腕の異なる製作者間の差、同一素地・同一工具を用いた製作者間の差などについて、良好な条件の下に観察・実験・検証を行うことができた。同調査では、個体間・個人間での胎土の違いや個人内での一致度に関する貴重な所見も得ることができた。なお、身体技法の一致度の評定については一層研究を深める必要があるが、タイでの民族考古学的調査による成果のほか、現物及び実験製作品の顕微鏡観察によって、工具の運動方向等に関するかなり確実な推定が行えることを見出した。以上の研究から、弥生土器等のハケメをはじめとする土器表面の微細痕跡については、開発した「断面高解像度スキャニング法」によるマッチングは、同一工具の同定に極めて有効であることが確信できる。
本研究によって、従来、土器製作者の個人同定には条件の整った土器しか使用できないという限界を超え、弥生土器をはじめとする無文傾向の著しい土器についても個人同定を行うことが可能という明るい見通しを得るに至った。このことは、考古学及び関連分野に、過去の個人を基軸とする新しい領域を確立することに役立つものと考える。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/p/18652073
ID情報
  • 課題番号 : 18652073

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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