2015年
DNA マーカーに基づく西日本キチヌの集団構造解析
水産増殖
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- 巻
- 63
- 号
- 1
- 開始ページ
- 17
- 終了ページ
- 27
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11233/aquaculturesci.63.17
- 出版者・発行元
- 水産増殖談話会
キチヌ Acanthopagrus latus は日本の太平洋沿岸に生息し,重要な漁業資源となっている。本研究では高感度マイクロサテライト DNA マーカー10座(n=312)および mtDNA 非コード領域の部分配列(n=42)を用いて,西日本7集団の遺伝的多様性と集団構造の推定を行った。その結果,MS マーカーでは有効アリル数22~47,平均ヘテロ接合度の観測値0.840~0.904とすべての集団で高い遺伝的変異を示した。同様に mtDNA も高い多様性を示した。7集団を単集団と仮定した AMOVA 解析では,遺伝的分化指数(Global FST)は MS マーカーで-0.00024(P>0.05),mtDNA で0.016(P>0.05)となり,集団間での有意な遺伝的分化は認められなかった。本種の河口周辺への依存性は高いが,発育初期の浮遊期に起因する遺伝子流動によって集団間の分化が妨げられていると考えられた。
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