2021年4月 - 2024年3月
隠蔽種ゲノム比較で探るアオリイカ類の異種間交配ホットスポット
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究では,人工授精と飼育実験を用いた異種間交配試験,野外採集卵と成熟メスのDNA解析,3種のゲノム比較を通して,アオリイカ3種間における生殖隔離および遺伝子浸透の強さを明らかにする。その結果に基づき,異種間交配が起こりやすい組み合わせや,既に遺伝子浸透が進んでいる組み合わせを特定することを予定している。さらに,漁獲される3種の割合が海域ごとに異なることを踏まえつつ,人工産卵礁を用いたサポート事業がアオリイカ類の異種間交配に与える影響を評価へとつなげることを最終的な目標としている。初年度の研究計画では,大きく3つの研究小課題へ着手した。それは人工授精試験,行動観察試験,およびゲノム比較解析である。まず人工授精試験の概要としては,アオリイカ類3種の成熟卵と精子を用いて人工受精を行い,異種間の配偶子で受精が起こるかどうか調べる。メスの輸卵管から取り出した受精卵に,精子懸濁液を混ぜ合わせインキュベートする。第一卵割が起きた場合は受精が起きたと判断する。これに基づきアオリイカ類の2種で種間交配を試みたが,そもそも同種内での受精がうまく起こらないという課題に直面した。よって,初年度はこの課題を解決することに注力した。沖縄科学技術大学院大学の研究協力の下,最終的には同種内で6割程度の受精成功度を得ることができた。ただし,3種間の交配については,アオリイカ採集シーズンと新型コロナウイルス感染症流行拡大が重なってしまい,実施するのが難しい状況であった。しかしながら,上記の結果は既往研究に比較して非常に高い値であり,アオリイカ類の人工授精技術を大きく発展させたといえる。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K14897
- 体系的課題番号 : JP21K14897