2012年4月 - 2013年3月
新奇トランスシナプス遺伝子改変技術の開発
文部科学省 科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究) 挑戦的萌芽研究
神経系は神経細胞がシナプス接続により回路を形成することによって機能することができる。この機能的な回路をシナプス接続特異的に可視化し、さらに遺伝子操作を加えることができれば、これまでにアプローチすることのできなかった接続特異的な神経回路形成の機構やその分子メカニズムを明らかにすることができる。本研究では、膜透過ペプチドとCre-loxPシステムを用いて機能的な神経回路を可視化することに加え、神経回路を接続特異的に遺伝子操作する手法の開発を行うとともに、トランスシナプス遺伝子発現マウスの作製を行うことを目的としている。現在までにいくつかのトランスシナプス遺伝子操作を行うための膜透過性融合タンパク質の設計、発現ベクターを作製、培養系およびin vivoへの遺伝子導入を行った。(1)TAT融合TEVプロテアーゼとその基質を用いたCreシグナル増幅システムについて、培養系において機能評価を行ったが、TAT融合TEVプロテアーゼの膜透過を確認することができなかった。(2)子宮内エレクトロポレーション法を用いて、mT/mGマウスの大脳皮質に遺伝子導入を行い交連神経の反対側への投射先におけるシナプス透過性の確認を行うことを試みたが、mT/mGマウスのGFP蛍光が観察困難であったため、適切な評価を行うことが困難であった。(3)OMPプロモーターの下流にシグナルペプチド、糖鎖付加シグナルを付与したTAT-CRE遺伝子を持つトランスジェニックマウスを作製し、このマウスをmT/mGマウスと交配させたマウスの解析を行ったが、同様にmT/mGマウスのGFP蛍光が検出できず詳細な解析が困難であると考えられた。(2)とともにmT/mGマウスをAi9マウスに変更し再検討を行う予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 24650175