1999年 - 2000年
地球温暖化にともなう大規模な温暖氷河の後退が海水面変動におよぼす影響評価
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、大規模な温暖氷河が存在する南米パタゴニア地域を対象として、氷河の縮小・後退が海面変動に与える影響を定量的に求め、現在進行している全球の海面上昇の中でパタゴニア氷河の寄与の割合を評価することを目的とした。そのため、平成10〜11年度科研費・国際学術研究「南米・パタゴニア地域における完新世の氷河変動と近年の氷河変動機構の解明」(国10041105)にて収集された試料の分析、データの解析を中心に研究を行った。
1999年12月、南パタゴニア・チンダル氷河涵養域の源流部にて深さ46mの掘削を実施し、日本国内にて雪氷コア試料の酸素・水素同体比、無機イオン濃度、バイオマスの分析を行った。以上の結果、同地点の年涵養量は、1997/98-98/99の収支年では17.8m/年、1998/99-99/00年では11m/年以上という、世界有数の高い降雪量であることが分かった。一方、南パタゴニア・ペリートモレノ氷河において、1999年12月氷河末端部のカービング(氷崩壊)と流動速度の観測を行った(1.5-2.5m/日)。また、同氷河やウプサラ氷河において、カービング速度が水深の一次式で表される経験式を導いた。この結果はカービング過程を氷河モデルに組み込むときに有用となる。さらにウプサラ氷河の変動のメカニズムについて、氷河底面の突起地形と流動方向の伸張が大きな役割を果たしていることが分かった。北パタゴニア・ソレール氷河にて、気候変化にともなう氷河の応答を数値実験した結果、気温が0.5℃上昇するとそれに応じた氷河形態が収束するまでには約150年要することが分った。また、同氷河の流動と融解量の観測結果を解析し、氷河底面滑り速度を融解量の関数として氷河モデルに組み込むことができた。
1999年12月、南パタゴニア・チンダル氷河涵養域の源流部にて深さ46mの掘削を実施し、日本国内にて雪氷コア試料の酸素・水素同体比、無機イオン濃度、バイオマスの分析を行った。以上の結果、同地点の年涵養量は、1997/98-98/99の収支年では17.8m/年、1998/99-99/00年では11m/年以上という、世界有数の高い降雪量であることが分かった。一方、南パタゴニア・ペリートモレノ氷河において、1999年12月氷河末端部のカービング(氷崩壊)と流動速度の観測を行った(1.5-2.5m/日)。また、同氷河やウプサラ氷河において、カービング速度が水深の一次式で表される経験式を導いた。この結果はカービング過程を氷河モデルに組み込むときに有用となる。さらにウプサラ氷河の変動のメカニズムについて、氷河底面の突起地形と流動方向の伸張が大きな役割を果たしていることが分かった。北パタゴニア・ソレール氷河にて、気候変化にともなう氷河の応答を数値実験した結果、気温が0.5℃上昇するとそれに応じた氷河形態が収束するまでには約150年要することが分った。また、同氷河の流動と融解量の観測結果を解析し、氷河底面滑り速度を融解量の関数として氷河モデルに組み込むことができた。
- ID情報
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- 課題番号 : 11640422