2021年4月 - 2026年3月
海と陸から問い直すアメリカ現代史―20世紀後半ニュージャージー州沿岸諸都市の変容
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は海が諸国家間の激しい覇権争いの場となった20世紀後半のアメリカ・ニュージャージー州沿岸諸都市の変容を海と陸の双方から考察し、公権力による海事政策の強化が、沿岸諸都市に暮らす人々の日常にいかなる影響を与えたかを読み解くものである。そのために主となる作業は、①20世紀アメリカ海事政策、②海員の生活世界を明らかにし、適宜③ニュージャージー州沿岸諸都市に関する史資料調査を進めることである。
2021年度は①と②に関して進展を見た。具体的には、国家の海事政策がかつてないほど強まる第2次世界大戦期の推移を整理するとともに、その中で重要な役割を担ったアメリカ海員労組の状況や、海員の日常生活における変化を分析した。この作業を通じて、アメリカ海員は戦時中に米海軍の補助部隊として戦線に動員されたことで多大な犠牲を払いつつ、戦後には「国家への貢献」を根拠にその地位を向上させ、日常生活においては陸上の生活を重視するミドルクラス志向を強めたことを明らかにした。
こうした海員のミドルクラス志向は、当時他のブルーカラー部門の白人労働者の多くに見られた現象であり、より大きな歴史的文脈において考察する必要がある。そこで、2021年度では白人労働者の歴史とその形成に関する研究も進め、学会報告や論集への寄稿によって理論的な整理を行った。
海員の日常生活をさらに詳細に見ていくためには、③の史資料調査が不可欠となる。しかし、2021年度も依然コロナウイルスによる渡航制限が続いたため、見送らざるを得なかった。
2021年度は①と②に関して進展を見た。具体的には、国家の海事政策がかつてないほど強まる第2次世界大戦期の推移を整理するとともに、その中で重要な役割を担ったアメリカ海員労組の状況や、海員の日常生活における変化を分析した。この作業を通じて、アメリカ海員は戦時中に米海軍の補助部隊として戦線に動員されたことで多大な犠牲を払いつつ、戦後には「国家への貢献」を根拠にその地位を向上させ、日常生活においては陸上の生活を重視するミドルクラス志向を強めたことを明らかにした。
こうした海員のミドルクラス志向は、当時他のブルーカラー部門の白人労働者の多くに見られた現象であり、より大きな歴史的文脈において考察する必要がある。そこで、2021年度では白人労働者の歴史とその形成に関する研究も進め、学会報告や論集への寄稿によって理論的な整理を行った。
海員の日常生活をさらに詳細に見ていくためには、③の史資料調査が不可欠となる。しかし、2021年度も依然コロナウイルスによる渡航制限が続いたため、見送らざるを得なかった。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K00935
- 体系的課題番号 : JP21K00935
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
歴史学研究 (1016) 59-70 2021年11月 査読有り招待有り
MISC
1-
大原社会問題研究所雑誌 (761) 1-3 2022年3月1日 招待有り
講演・口頭発表等
2-
2022年度第4回地域・産業研究会 2022年11月18日 釧路公立大学地域分析研究委員会 招待有り
-
名古屋アメリカ研究会第234回例会(野村達朗さん追悼例会) 2021年8月1日 名古屋アメリカ研究会 招待有り