2020年
日本の生活保護制度における「自立」言説の再検討――1940~1950年代の「社会保障制度審議会」を構成したアクターの言説を中心とする――
社会福祉学
- 巻
- 61
- 号
- 3
- 開始ページ
- 14
- 終了ページ
- 27
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.24469/jssw.61.3_14
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
<p>本研究は,1940~1950年代にかけて「社会保障制度審議会」を構成した政策主体(アクター)の「自立」言説を再検討することによって,生活保護制度へ「自立」が制度化された背景に,以下の三つの言説上の潮流が存在したことを明らかにした.第一に,労働市場で活動を行い経済的な自助を達成している状態を「自立」と定義する立場.第二に,労働市場もしくは民間社会福祉施設にて,何らかの活動を行っている状態を「自立」としたうえで,個人をそのような場所へと統合する必要を主張した立場.第三に,個人が日常生活を営むうえで必要な所得を備え,特定の施設外での活動を行うことができる自由を有した状態を「自立」と定義した立場である.このような言説分析を踏まえ,「自立」概念の両義性を指摘した.また,各アクターの認識に基づく「自立」概念の歴史的発展と,それらアクターの相互関係による福祉政策の形成という二つの仮説を提示した.</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.24469/jssw.61.3_14
- ISSN : 0911-0232
- CiNii Articles ID : 130007982624
- CiNii Books ID : AN00314800