共同研究・競争的資金等の研究課題

2011年 - 2012年

情動による行動選択の最適化の脳内神経基盤の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
11J06508
体系的課題番号
JP11J06508
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,300,000円

本研究では、情動の行動選択への影響の神経基盤を明らかとするため、情動喚起状況下で活動を亢進する特徴を持つ青斑核ノルアドレナリン神経系に着目し、その青斑核ノルアドレナリン神経系の行動選択への関与を検討した。昨年度の成果では、ラットを用いたT型分岐迷路装置による2選択肢選択課題において、青斑核ノルアドレナリン神経系活動が、意思決定におけるラットの熟考・内的探索に伴うとされる代理的試行錯誤行動(Vicarious trial-and-error)と相関することを明らかとした。この結果を受け、本年度は、ノルアドレナリン神経活動を抑制するノルアドレナリン自己受容体の作動薬(clonidine)投与の、T時型迷路課題中の代理的試行錯誤行動への影響を検討した。その結果、腹腔への薬理投与により、課題パフォーマンスの低下および代理的試行錯誤行動の減少が見られた。さらに、関与する脳部位の特定のため、迷路課題前に、同様の薬剤を内側前頭前野に局所投与した。その結果、腹腔内への薬理投与と同様の結果が得られた。以上の結果から、青斑核ノルアドレナリン神経系は、内側前頭前野に作用し、代理的試行錯誤行動の調節に関与していることが示唆された。
以上の結果から、情動は、青斑核ノルアドレナリン神経の内側前頭前野の調節への影響を介して、選択肢の熟考・内的探索過程に影響を及ぼし、行動選択を変容させることが推察される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11J06508
ID情報
  • 課題番号 : 11J06508
  • 体系的課題番号 : JP11J06508