2016年7月
妊娠中に発症した脳梗塞に対する抗血小板・抗凝固療法中に肺胞出血を合併し集学的治療により救命し得た1例
東京産科婦人科学会会誌
- 巻
- 65
- 号
- 3
- 開始ページ
- 473
- 終了ページ
- 477
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)東京産科婦人科学会
肺胞出血は時に死に至る重篤な呼吸不全を呈する病態であるが、妊婦の報告は稀である。妊娠中に発症した脳梗塞に対する抗血小板・抗凝固療法中に肺胞出血を合併し集学的治療により救命し得た1例を経験した。症例は34歳1経産。妊娠28週で脳梗塞を発症し前医で抗血小板療法を開始され、30週で脳梗塞の進行を認め抗血小板・抗凝固療法を強化された。同時に切迫早産をきたし子宮収縮抑制薬を投与されたが、32週にStevens-Johnson-Syndrome(SJS)を発症し、周産期管理目的に当院に母体搬送となった。搬送翌日に呼吸不全を認めたため、母体治療目的に全身麻酔下で緊急帝王切開術を施行し妊娠を終了した。術後の気管支肺胞洗浄で肺胞出血の確定診断となり、2日間の人工呼吸管理を経て良好に経過し20日目に退院となった。本症例のように肺胞出血のリスクのある妊婦では呼吸不全の発症に留意して管理する必要がある。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2186-0599
- 医中誌Web ID : 2016396072