基本情報

所属
東京大学 大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論分野
学位
修士(学術)(2020年 東京大学)

J-GLOBAL ID
201901014306878006

外部リンク

哲学/美学について研究している院生です。

描写の哲学(philosophy of depiction)

われわれが画像(picture)に目を向けるとき、物体としてのキャンバスや印画紙を見るだけではなく、それが表象(represent)するなにか像として見ています。このような経験および画像の本性を巡り、現代英米圏の分析美学ではさまざまな論点が争われています。

  • 画像の本性:画像が、画像的な仕方でなにか表象する=描写する(depict)とは、どういうことか。
  • 描写の構成:描写されるなにかは、どのようなものか。どのような仕方で描写されるか。
  • 画像の解釈:画像に目を向ける観者は、いかにして描写されるなにかを特定するのか。
  • メディア間の差異:描写を行う画像メディア(絵画、スケッチ、写真、グラフ)ごとに違いはあるのか。

修士課程では、とりわけ最後の論点に関わるトピックとして、写真論を扱ってきました。

写真の透明性

アメリカの美学者ケンダル・ウォルトン(Kendall Walton)は、1984年の論文で写真は「透明(transparent)」であることを主張しています。因果的な仕方で作られる写真は、絵画のような手製の画像にはない性格として「透明性」を持ち、鏡や望遠鏡や眼鏡と同じように「それを通して、文字通り、対象を見ることができる」ような画像だと述べます。

写真の諸価値

  • 現象学的価値(phenomenological value):ウォルトンは透明性によって、写真がもたらす親密な情動的経験、写真的リアリズムを説明しようとしています。
  • 認識論的価値(epistemic value):写真はしばしば、絵画よりも優れた情報源となりうるメディアですが、このことは何によって説明されるのか。
  • 芸術的価値(aesthetic value):写真が信念独立に対象を描くメディアだとすれば、それを用いて作者の信念や思想を伝達することは難しく、ゆえに芸術たりえないのではないか、という懐疑主義をロジャー・スクルートン(Roger Scruton)が提出しています。

 

ウォルトン論文に対し、現在に至るまで多くの異議が寄せられています。修士論文ではデジタル写真が登場して以後の状況を踏まえつつ、ウォルトン理論の射程を再検討しました。「写真は透明である」という存在論的主張については擁護しうるものの、その事実から写真の諸価値を説明するにあたりウォルトンは橋渡しに失敗していることを示しています。

また、合成写真やフェイク写真による虚偽の問題についても、言語哲学を援用しつつ分析しています。

現在は描写一般についての問いに立ち返りつつ、画像経験に関連する知覚の哲学/心の哲学を勉強中です。

その他の関心

  • ホラーとユーモア
  • 文学、映画、ポピュラー音楽
  • インターネット・ミーム
  • 記号論、消費社会論
  • ポスト・モダニズムとポスト・ヒューマニティーズ

 

研究のかたわら、ブログや文芸誌でカルチャー批評を書いています。ブログには論文ノートなども載せています。

▶ obakeweb

ファンクやシティ・ポップをやるバンドで、ギター、歌、作曲などを担当しています。

▶ qooke


研究キーワード

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論文

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MISC

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講演・口頭発表等

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書籍等出版物

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