2020年8月
イメージを切り貼りするとなにがどうなるのか:インターネットのミーム文化における画像使用を中心に
フィルカル
- 巻
- 5
- 号
- 2
- 開始ページ
- 60
- 終了ページ
- 81
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 株式会社ミュー
本稿は既存の画像が本来とは別の意味内容を担う現象を主題とし、画像の語用論を試みる。公式の文脈を持つ画像には、二次的使用に先立つ内容がある。これに加え、元の文脈から切り離されて他の文脈に貼り付けられた画像は、二次的使用上の内容を持ちうる。インターネット・ミームは、このようなイメージの切り貼りが顕著な文化実践である。「イメージ・マクロ」は画像と文字のキャプションを組み合わせ、「リアクション画像」は画像と特定の使用状況を組み合わせ、「コラージュ」は画像と他の画像を組み合わせる。これらのミームがいかにして画像に二次的使用上の内容をもたらすのかを示しつつ、(1)キャプションはどのように選択されるのか、(2)鑑賞者はいかにして画像の二次的な内容を解釈するのか、(3)ミーム作品はどのように鑑賞されるのか、といった哲学的問題に取り組む。