MISC

2014年

セスクアテルペン環化酵素を基軸とするテルペン創出経路の開拓

天然有機化合物討論会講演要旨集
  • 上田 大次郎
  • ,
  • 山鹿 宏彰
  • ,
  • 岡本 渉
  • ,
  • 遠塚 悠輔
  • ,
  • 品田 哲郎
  • ,
  • 星野 力
  • ,
  • 佐藤 努

56
0
開始ページ
Oral18
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.24496/tennenyuki.56.0_Oral18
出版者・発行元
天然有機化合物討論会実行委員会

<p>はじめに</p><p>我々は、天然物探索から新規C35テルペンを発見して以来、C35テルペンに着目して研究を行っている1-6)。50,000種類を超えるテルペン類の中で、C35テルペンには長らく特別な分類名がなかったが、直鎖状C35イソプレノイドの環化を経る経路を酵素・遺伝子レベルで初めて証明し、「セスクアテルペン」と命名した2-5)。本経路には、1990年代から数多く見出されてきたテルペン環化酵素の一次構造と類似性をもたない「新型」テルペン環化酵素(テトラプレニル-β-クルクメン合成酵素:TS)が関わることを明らかにした(Scheme 1)2-5)。また、Bacillus megaterium由来のテトラプレニル-β-クルクメン環化酵素(TC)は、C35とC30の基質から各々4環と2環を形成する二機能性テルペン環化酵素であることを証明した2,3,6)。異なる2種類のテルペンを生体内で生合成する初めてのテルペン環化酵素であった(Scheme 1)2,3,6)。</p><p>今回、セスクアテルペン環化酵素であるTSおよびTCに関する研究をさらに展開し、テルペン創出経路を開拓したので報告する。</p><p> </p><p>1)TSホモログのゲノムマイニングによる新規セスタテルペン・新規トリテルペンの発見7)</p><p>TSホモログは、様々なバクテリアにおいて機能未知遺伝子として存在している。今回、手始めに好アルカリ性のBacillus clausiiのもの(Bcl-TS)をターゲットにした。B. clausiiゲノムにおいてTSホモログが存在するにも関わらず、菌体から化合物1が検出されなかった。一方、テルペン類と考えられる未知脂質(5と6)がGC-MSによって検出されたため、それらを単離・構造決定した。その結果、新規非環状セスタテルペン(5)と新規非環状トリテルペン(6)であることが判明した。各々β-geranylfarneseneおよびβ-hexapreneと命名した。</p><p>B. clausiiゲノムにおいてBcl-TS以外にテルペン合成酵素ホモログが存在しないことから、Bcl-TSが化合物5と6の生合成に寄与していることが考えられた。Bcl-TSの大腸菌発現系を構築後、精製Bcl-TSによってGFPP(C25)とHexPP(C30)から各々5と6が生成されることをin vitroで証明した(Scheme 2)。</p><p>Table 1に示したように、化合物5と6は多くの好アルカリ性Bacillusに分布していた7)。以前、B. alcalophilusのような好アルカリ性Bacillusはスクアレン3やデヒドロスクアレンを生産することが報告されていたが8)、我々は化合物5と6が生産されていると訂正した。</p><p> 本研究によって、TSホモログがセスクアテルペン(C35)だけでなくC25やC30のような様々なテルペン合成酵素のファミリーであることが判明した。今後も、TSホモログのゲノムマイニングによって多くの新規テルペンを発見できるのではないかと期待している。</p><p>2)TCによる</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.24496/tennenyuki.56.0_Oral18
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201802272715990150
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007399448
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201802272715990150
ID情報
  • DOI : 10.24496/tennenyuki.56.0_Oral18
  • ISSN : 2433-1856
  • J-Global ID : 201802272715990150
  • CiNii Articles ID : 130007399448

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