2020年4月 - 2024年3月
南海トラフの長期地震津波履歴:地質痕跡の確実な識別と高精度・高確度年代決定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
三重県鳥羽市相差町において人力掘削による予備調査を実施して調査適地を絞り込んだ後,機械式のボーリングコア掘削を実施した.調査地は砂州の背後に発達した標高1 m前後の沿岸湿地であり,河川流入がないため河川による土砂の供給と堆積は無いか,非常に限られている.調査地域は歴史上複数回津波の被害にあっているが,これまでに判明している歴史地震津波の高さはこの湿地の標高を上回っている.ボーリングコア掘削の結果,約7300年前の層準まで連続した堆積物柱状試料を3地点において採取することができた.同時に地形断面の測量も実施した.その堆積物柱状試料を詳細に記載したところ,津波堆積物の可能性がある砂層を少なくとも17枚確認することができた.これらの砂層には有孔虫や貝殻片など海生生物の遺骸が含まれており,海底もしくは海浜から供給されたことが分かる.それぞれの砂層の堆積年代を詳細に特定するため,放射性炭素同位体年代測定用の試料をボーリングコアから採取し,葉や種子,胞子などの年代測定試料を実体顕微鏡下で選別した.
- ID情報
-
- 課題番号 : 20H01980
- 体系的課題番号 : JP20H01980