共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

がん組織内環境の多色深部イメージングおよび空間分布制御型DDSの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H03535
体系的課題番号
JP18H03535
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円
資金種別
競争的資金

がん組織内微小環境はヘテロであり、DDS組織内分布は差を生じやすい。本研究では、難治性がんにおける血管や間質などの組織構造とDDS空間分布との対応関係の解析を目的に、難治性がんの多色深部イメージング法の構築を行った。まず、標的指向型リポソームやナノバブルなどのDDSについて、標的臓器における血管とDDSの関連性について多色深部イメージング法を用いて評価したところ、リポソームの腫瘍内分布やナノバブルによる組織内遺伝子発現の空間分布を明らかにすることができた。そこで、がんの組織内微小環境としてDDSの腫瘍内における拡散に大きく影響しうるコラーゲンに着目し、膵がんの血管やリポソーム、コラーゲンなどを同時観察可能な多色深部イメージング法を確立した。本評価系を用いて従来の約100 nmリポソームの腫瘍内空間分布を評価したところ、リポソームが膵癌間質でトラップされている様子を三次元的に捉えることに成功した。DDS開発においては、標的指向型リポソーム調製を目的に、難治性がんであるグリオーマや膵がん、がん微小環境に存在するマクロファージを標的とする高機能・高品質(HFQ)脂質の開発を行った。これらのHFQ脂質で修飾したリポソームは、標的細胞に高効率かつ選択的に取り込まれることを明らかにした。さらに、高い再現性でリポソームの大量調製が可能なマイクロ流体デバイスを用いて、膵がん指向型リポソームの製造技術の構築を行った。本デバイスを用いた調製条件の最適化により、従来のリポソームと比較して極めて小さい約55 nmのリポソーム(膵がん指向型limit sizeリポソーム)の調製に成功した。異種異所性のヒト膵がん細胞移植モデルを用いて膵がん指向型limit sizeリポソームの腫瘍内分布を多色深部イメージングにより評価したところ、間質コラーゲンを突破して膵がん深部へ高効率に送達される可能性が示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03535
ID情報
  • 課題番号 : 18H03535
  • 体系的課題番号 : JP18H03535