MISC

2011年3月

分離胎盤間に血管吻合のあった一絨毛膜二羊膜双胎の一例

東海産科婦人科学会雑誌
  • 淺野 恵理子
  • 鈴森 伸宏
  • 水谷 栄太
  • 後藤 志信
  • 小林 良幸
  • 服部 幸雄
  • 熊谷 恭子
  • 北折 珠央
  • 尾崎 康彦
  • 高橋 雄一郎
  • 西原 里香
  • 岩砂 智丈
  • 木越 香織
  • 反中 志諸理
  • 川鰭 市郎
  • 岩垣 重紀
  • 杉浦 真弓
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47
開始ページ
197
終了ページ
202
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
東海産科婦人科学会

一絨毛膜二羊膜(Monochorionic Diamniotic:以下MD)双胎は完全癒合胎盤であり、胎盤間に血管吻合があるゆえに双胎間輸血症候群(Twin-to-Twin Transfusion Syndrome:以下TTTS)が生じるとされている。今回、分離胎盤間に血管吻合があり、PreTTTSを発症した症例を報告する。症例は、30歳、初妊。既往歴に特記すべきことなし、双胎妊娠にて当科紹介受診、MD双胎と診断され、23週6日に体重差、羊水量差出現、24週6日で羊水深度は9.9cmと1.8cmであり、受血児には腹水を認め、供血児には拡張期血圧に途絶あり、切迫早産で入院管理され、25週2日、レーザー治療を目的に転院された。しかし、搬送時点ではPreTTTSであり、レーザー治療の適応はなく、受血児の羊水除去を26週0日、供血児の羊水注入を27週1日と28週3日に行った。受血児には三尖弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症があり、心拡大も指摘された。供血児には臍帯動脈血流逆流、変動一過性徐脈を認めた。28週5日で当院へ転院。29週3日に39℃の発熱があり、翌日に帝王切開術施行、受血児は1554g、Apgar 4/4、日齢26に急激な敗血症に伴う播種性血管内凝固により日齢27に永眠された。供血児は934g、Apgar 7/8、日齢78で退院。発育発達に問題なく経過している。胎盤は2つに分離しており、分離胎盤間の大きな血管吻合を含め合計8本の吻合血管を認めた。MD双胎で分離胎盤である症例は、文献的には3%とされている。中期の紹介例では胎盤が分離されていて二絨毛膜二羊膜双胎と診断するのではなく、妊娠初期エコーでの膜性診断の再確認を行い、周産期管理をしていくことが大切であると考えられた。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0915-7204
  • 医中誌Web ID : 2011162276

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